ケロッピー前田の変態カタログ★リターンズ35 【エロい写真】

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ケロッピー前田の変態カタログ★リターンズ35

エロい写真

EROTIC PHOTOGRAPHY: BIZARRE GLOSSARY by KEROPPY MAEDA

 “エロい写真”について語るなら、その核心部分に触れる作風で今や世界的にも注目されている、天才アラーキーから始めるべきだろう。彼に言わせれば、「写真」とは元々エロティックなものなのである。そのことは、彼の著書『男と女の間には写真機がある』(太田出版)のタイトルを見ても明らかである。その本は、アラーキー自身の写真論であり、アマチュア向けの写真入門にもなっているが、圧巻なのは最終章。アラーキー主催のワークショップに集まった若者たちは、最初こそ真面目な面持ちだが、ヌードの女性モデルたちを相手にするうちに表情もゆるみ、「写真を撮る」行為自体も輝いてくる。だからこそ、「自分が最も興味を持てるものを撮る」ことこそが最も大切であると教えられているのだ。


 ちなみにアラーキーの出世作となった写真集『センチメンタルな旅』(1971)は、妻・陽子との新婚旅行の模様を写真で綴ったものであるが、その中でも最も衝撃的であったのは、数点使われている初夜のハメ撮り写真であった。これはプロの写真家が自分の作品として妻とのニャンニャン写真を発表した点においても、“エロい写真”の真髄を突いていた。彼のニャンニャン写真は、写真ならではの楽しみ方を提示したと同時に、“エロい写真”を芸術写真の領域まで引き上げる突破口にもなったのだ。


 “エロ”という領域に足を踏み入れることは、写真におけるプロとアマチュアの境界を超え、撮影者と被写体の関係性をも映し出してしまう行為である。例えば、そのことは、近年ドイツの出版社タッシェンが、ヘルムート・ニュートンを始めとするエロティック・フォトの写真集を次々に出版していくようになって、ますます顕著になってきている。わかりやすくいえば、欧米では、ネット時代に突入してから、エロ系の大判写真集が勢いを増しているのだ。実用的にはネット画像で一発ヌイてしまう層も増えているのだろうが、印刷のクオリティで女たちの肌の感触さえも鑑賞したいという読者も多いのだ。


 写真登場以来、人間は写真に欲情してしまうという「新しい感覚」に目覚め、今、さらにデジタルフォトとなり、画像の加工も容易になってきている。それでも人間は、写真にリアリティを感じるからこそ、欲情できるのだ。バーチャルな時代にリアルを求め、人はますます“エロい写真”が見たくなっているということだろう。




●強烈なボディは誰をも引きつける。その非日常性が写真そのものの価値さえも大きく決定してしまうのだ。デジタルフォトによるCG加工が容易になったとしても、リアルな身体のインパクトは薄れることはない。


●およそ150年間に写真の歴史の中で、「女」や「ヌード」は絶好の被写体として、写真表現の幅を広げてきた。古いエロ写真は、当時の女たちのファッションや体形を知る貴重な資料にもなっているのが面白い。


●いい女が裸になればいいのではない。シチュエーションやコスチューム、行為そのもののリアリティが魅惑の女たちを引き立てる。写真家の性癖を超え、彼女たちの本気度が感じられる作品にこそ欲情させられる。




ケロッピー前田


1965年生まれ。身体改造、サイボーグ、人類の未来をテーマに取材を続ける。主な著書に「スカーファクトリー」(CREATION BOOKS)、監修DVD「ボディ・モディフィケーション・フリークス」(ワイレア出版)など。ツイッター「keroppymaeda」にて改造イベント情報など発信中。keroppymaeda.com



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