エロ年代の想像力 第十一回

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エロ年代の想像力

#11 『 Unbalance ~アンバランス~ 』

アニメルカ出張版




 特徴的な演出で熱狂的な支持者をえ、近年『魔法少女まどか☆マギカ』で一般化まで果たした現代を代表するアニメ監督「新房昭之」――彼の18禁アニメ用変名義である「南澤十八」は、今の新房×シャフトのほぼ原型をなしている。もはやシンボリスティックな意匠に満ちたその画面設計自体が、シンボリズムと新房イズムの語呂合わせとして、南澤十八が新房昭之であることを暗に告白していたとしか思えない南澤/新房作品群。今回からは、その監督作全5作品を、エロ年代順に、首を異様な角度にまで強烈にひねりながら振り返ってみる。



『Unbalance~アンバランス~』
(監督:南澤十八、製作:ディスカバリー、全3巻、2002年)


 はじめに身も蓋もないことを言ってしまえば、新房×シャフトの『化物語』(2009-10年)は、『Unbalance~アンバランス~』のセルフパロディであった。


 もちろん、この段階においては、未だ直前の一般商業アニメ監督作『The Soul Taker ~魂狩~』(2001年)のテイストも色濃く残されてはいるが、本作の可能性の中心に渦巻いているのは『化物語』において開花したそれであることは、誰にとっても見紛いようがない。


 さしあたりごく表層的なレベルに注目してみてみるだけでも良い。シャフ度と呼ばれる化物的な首の角度は言うまでもないが、「Menu.2」で性交が行われる場は、『化物語』第2話で描かれた戦場ヶ原ひたぎのアパートそのものとしか言いようがない骨組みだけの建物であり、その内部も同様に、壁には新聞紙が張り巡らされている。そう考えれば、あの『Unbalance』的空間で戦場ヶ原が淫らな肢体を晒したことも、ポルノアニメ史的な必然に支えられていたと言える。


 『化物語』第3話では、非現実的な公園における遊具群での戯れが描かれていたが、『Unbalance』においても、公園は戯れの舞台としてある。つまり、ジャングルジムやブランコ、鉄棒といった遊具には執拗に女性器が擦りつけられるだろうし、終いには滑り台の頂で開脚し、光り輝く尿を垂れ流しはじめるだろう。


 ここでスタッフワーク的な裏付けとして、「Menu.1」の原画クレジットに、『化物語』キャラクターデザイン・総作画監督である「渡辺明夫」の名前を発見することも無意味ではないだろうが、より本質的な問題系である、作品の構成を支えるアンバランスで化物的なリズムについては、あいにく語る余裕が残されていない。




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『アンバランス』MENU.1





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『アンバランス』MENU.2




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『アンバランス』MENU.3





 以上、0721文字。このリズムの妙については、また別の機会に展開したい。


 ここで唐突に、本文には書けない余談をこっそりと囁きはじめると、『Unbalance~アンバランス~』が『化物語』であったのと同様に、南澤作品の多くは『魔法少女まどか☆マギカ』を先取ってもいたはずである。例えば「Menu.1」で描かれた、野外で首輪をつけ、アヌスに光り輝く花火を指したまま放尿させるシーン。南澤作品においては、このような、「劇場」を模したような異空間で、「イヌ」のように這いつくばって、「カレー」のような脱糞をする類の描写が多発するのだが、今から振り返れば、これが『まど☆マギ』の異空間を支えた「劇団イヌカレー」の原型であったように見えてくる。


 その視点で改めて見なおせば、花火シーンのすぐ後に描かれた、女体をクリームやイチゴバナナで飾り付けるエピソードなど、もはや『まど☆マギ』におけるシャルロッテ的お菓子の国以外の何ものでもないし、そこから続く、子宮内に注入した赤ワインが勢い良く噴出する描写など、巴マミがマミられた後の陰惨な出血と呼応する強度を備えていた。




PROFILE
反=アニメ批評(@ill_critique
アニメ批評同人誌『アニメルカ』責任編集。
思想恥部シリーズ『エロ年代の想像力』責任編集。
『エロ年代の想像力』のほうは現在、ジュンク堂 新宿店、MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店、COMIC ZIN、タコシェ、および通信販売で好評発売中。
『アニメルカ』オフィシャルサイト
反=アニメ批評



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