エロ年代の想像力 第十六回

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エロ年代の想像力

#16 『 姉汁2 THE ANIMEATION ~白川三姉妹におまかせ~ 』

アニメルカ出張版




 三ヶ月間にも及んだ野火止用太、南澤十八特集も前回で終わり、久々に通常営業モードです。


 というわけで今回はお堅い批評性をゆるめに、やや肩を抜いて、寝苦しい熱帯夜のお供になりそうなエロアニメを紹介しましょう。ただし普通のエロアニメかと言うとそうでもない。




『姉汁2 THE ANIMATION ~白川三姉妹におまかせ~』
(監督:斎藤シン、製作:ピンクパイナップル、全2巻、2010-11年)





 本作に触れたとき、私達はその奇妙な構造に目を引かれる。原作のエロゲはとある呪いをかけられた主人公が、その呪いを解くために三人の姉にエロい事をしてエロい汁を集めるという設定が作品の軸としてあり、そしてエロアニメ版も1においてはこの設定に忠実にストーリーを構成していた。


 しかし五年ぶりの続編となった2は、これと全く異なっている。まず主人公が下巻までほとんど登場しない。なので当然姉汁も集めない。表面的なキャラクター性以外は原作を完全に無視しているのである。では原作を無視して、一体何をやっているのか。


 まず三人の姉??ヒロイン達は温泉に浸かりながら、「また会えたね!」「皆さんの応援のおかげで続編の制作が決定しましたー!」と画面の向こうの視聴者に語りかけ始める。そして前作の映像を流用した解説&粗筋を垂れ流しつつ、作品世界の外部を自覚した自己言及的な会話劇を十数分に渡って繰り広げた後、ようやく本編が開始される。


 しかし本編が開始しても彼女達の意識は作品の内部に閉じようとしない。続く場面でも引き続き、ヒロインの一人が画面の向こうの私達の視線を認識したうえで、盛んに語りかける形でバイブによる自慰プレイが展開される。


 本作のこのような構造にはおそらく二つの意図がある。まず主人公(=プレイヤーの代理者)を画面から排除する事による、作品へのプレイヤーの直接的な擬似接続。そして終盤における主人公の男根がヒロインに憑依した形で行われるふたなりセックスが象徴するように、近年の空気系的な想像力の前面化によって変形した男性のマチズモの発動形態の表象として。


 その手法はまだまだ粗さが目立つ。しかしエロアニメの新しい可能性を模索した、意欲的な試みだと言えるだろう。







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姉汁2 Liquid.1
「オナニーのお手伝いしてあげる♪」




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姉汁2 Liquid.2
「エッチなこと何でもしてあげる♪」




 以上0721文字。ところで筆者はネット上のレビューで、「作品のコンセプト上、ヒロインがオナニーに使用するバイブは青ではなく肌色にするべきだった」という指摘を目にしたが、これはある意味本作の本質に迫った、たいへん鋭い指摘だと言える。そしてそもそもなんでこんな実験的な作品をわざわざ『姉汁』の続編でやったのかも大きな謎である。




PROFILE
杉田u(@sugita_u
思想恥部シリーズ『エロ年代の想像力』企画協力。またアニメ批評同人誌『アニメルカ vol.1』に四コマ原作アニメ論を、『アニメルカ vol.3』に『けいおん!』論を寄稿。
『エロ年代の想像力』のほうは現在、ジュンク堂 新宿店、MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店、COMIC ZIN、タコシェ、および通信販売で好評発売中。
ブログ:ばべのれ
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反=アニメ批評