エロ年代の想像力 第十七回

000

eronenn.jpg



エロ年代の想像力

#17 『 あきそら 』シリーズ

アニメルカ出張版




  今回は南澤十八と同じく、エロアニメから一般アニメへと越境した作家・高橋丈夫の代表作の一つであり、また全年齢対象エロアニメという奇妙なジャンルの作品である。



『あきそら』シリーズ
(監督:高橋丈夫、製作:ポニーキャニオン、全3巻、2009-10年)




 一つは原作の単行本三巻の限定版の特典付録版、そしてもう一つはその後に製作された一般OVA版である。付録版のストーリーはOVA版の前日譚に当たり、そしてメインとなるスタッフもほぼ共通しているため、ここではこの付属版をOVA版と合わせて論じたい。


 『あきそら』というタイトルは本作の主人公である「ソラ」と、ソラの姉でメインヒロインの「アキ」を組み合わせたものだが、それだけではなく同時に「秋の空」にもかかっている。「乙女心と秋の空」という言葉が象徴するように、季節の変わり目である秋の天候は変わりやすい。付録版の画面はまさしくその秋の空のごとく、過剰に色彩鮮やかな画面によって揺れ動くキャラクターの心情を表現している。


 そしてもう一つ、秋の空で想起されるのは夕焼けだろう。OVA版の上巻の画面はこの黄昏に支配されていると言ってもいい。それは本作のテーマである近親相姦や同性愛といった禁忌を表す彼岸のイメージでもある。


 しかし続OVA版の下巻では、前二作のような色彩的演出は抑制されることになる。なぜか。それはOVA版下巻では視点キャラクターがこれまでのソラから、その妹である「ナミ」に移行しているからに他ならない。


 ナミが密かに恋慕する親友(同性)とソラの情事を目撃し、嫉妬と葛藤、そしてファルス的欲望の末ソラを逆レイプするというOVA版下巻のストーリーの激しさは、やや予定調的な展開だった前二作に比べると突出している。このナミの情動によって『あきそら』の画面は大きく揺さぶられる。


 世界を覆っていた色彩はこのナミ(波)=振動によって剥がれ落とされる。そこにはもう偽りの化粧など存在しない。




akisora01.jpg



akisora02.jpg



akisora03.jpg




 以上、0721文字。なお、アニメ監督・高橋丈夫は、エロ年代を代表する作家として思想誌『エロ年代の想像力』でも大々的に特集している。夏コミ(アニメルカ製作委員会、三日目、東P-02a)に向けて増刷も行われる可能性があるため、そちらも訪れてみて欲しい。



PROFILE
杉田u(@sugita_u
思想恥部シリーズ『エロ年代の想像力』企画協力。またアニメ批評同人誌『アニメルカ vol.1』に四コマ原作アニメ論を、『アニメルカ vol.3』に『けいおん!』論を寄稿。
『エロ年代の想像力』のほうは現在、ジュンク堂 新宿店、MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店、COMIC ZIN、タコシェ、および通信販売で好評発売中。
ブログ:ばべのれ
『アニメルカ』オフィシャルサイト
反=アニメ批評



400.png