エロ年代の想像力 第二十回

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エロ年代の想像力

#20 『 人工少女 ~変身セックスアンドロイド~ 』

アニメルカ出張版




 予算と人手が限られているからか、エロアニメではしばしば、監督が作画監督やコンテや演出のみならず原画までやるという作品を見るケースがある。前回取り上げた『擬態催眠』も監督の杉並大福がキャラクターデザイン、作画監督、絵コンテ、演出、原画と一人六役と獅子奮迅の活躍を見せていた。


 本作はそれに加えて監督が脚本まで自分でこなす一人七役! まさに監督・三村惣月のプライベートフィルムというべき様相の一作である。



『人工少女 ~変身セックスアンドロイド~』
(監督:杉並大福、製作:デジタルワークス、全2巻、2009年)




 まず本作のテーマを一言で説明すれば、「変身」である。


 あらゆる形状に自在に変身できる機能を持ったセックス用アンドロイド「セリ」を手に入れた主人公は、その変身機能を生かして様々なプレイを楽しむ。バイト先の同僚女性との擬似セックスを始め、初恋のお姉さんとの幼児化セックス(セリが巨大化することで相対的に主人公が小さくなる)や、それとは逆にヒロインをフィギュアサイズまで縮小させてのセックスなど、まさにエロアニメならではの様々なプレイが繰り広げられる。


 加えて本作が素晴らしいのはこのエロ目的の設定が、平行して展開されるエロとは無関係の本筋(?)のストーリーにも巧みに活かされている点である。コンビニバイトとして働く傍ら、主人公が傾倒しているコスプレアイドルとして活動するもう一人のヒロイン、スズナも同様に「変身」という主題性を内包しており、そしてその二重生活によって作中で生じる事件もまた、セリの変身能力によって解決される。非常にシンプルなストーリーながら、この構成力が実に秀逸。


 というか本作の最大の魅力はエロアニメとしての固有性がどうとかの建前より、ある意味このスズナのキャラクター性にある。


 性格は人当たりがきついツンデレで、外見は紫色の前下がりショートにめがねっ娘。まるで某超人気ラノベを原作とした某超ヒットアニメの人気ヒロイン二人を合体させたようなキャラだが、これは偶然の一致ではない。既述しているように彼女の名前はスズナ。涼○の「スズ」+長○の「ナ」である。


 パロディキャラかよ! いやでも外見が長○で中身がハ○ヒとか無敵じゃないですか。そしてこのナズナが終盤でツンからデレ状態へと反転するのもまた、本作を貫く主題である「変身」の一環なのである。




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人工少女 前編~変身セックスアンドロイド~ [DVD]




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人工少女 後編~変身セックスアンドロイド~後編 [DVD]




 以上0721文字。ちなみに音響監督がストライクウィッチーズシリーズの吉田知宏。三村惣月、杉並大福と一緒に第一話の三人原画の一人にクレジットされているやまあつしは、近年アリエッティやゲド戦記、カラフルなどジブリ作品を中心に劇場版アニメの作画監督補佐を頻繁に務めている山形厚史ではないかと思われる。監督の三村惣月の才気だけに頼り切った作品化と思いきや、その屋台骨は意外な豪華スタッフによって支えられていたのだ。




PROFILE
杉田u(@sugita_u
思想恥部シリーズ『エロ年代の想像力』企画協力。またアニメ批評同人誌『アニメルカ vol.1』に四コマ原作アニメ論を、『アニメルカ vol.3』に『けいおん!』論を寄稿。
『エロ年代の想像力』のほうは現在、ジュンク堂 新宿店、MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店、COMIC ZIN、タコシェ、および通信販売で好評発売中。
ブログ:ばべのれ
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反=アニメ批評