エロ年代の想像力 第二十二回

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エロ年代の想像力

#22  『魔法少女えれな』

アニメルカ出張版


 一方に『魔法少女まどか☆マギカ』があるのだとすれば、他方に『魔法少女えれな』が存在する(なお、エロ年代における『まどか☆マギカ』を論じた書物に『反=アニメ批評2011summer』がある)。



『魔法少女えれな』
(監督:西島克彦、製作:アニメアンテナ委員会、既刊1巻、2011年)



 エロ年代において、「魔法少女」は触手姦される存在である。もちろんそれが輪姦や魔獣姦、淫蟲姦に代わることはある。だがいずれにせよ、魔法少女の精神と身体とは、およそ陵辱される定めにあり、また魔力の源は精力とされることが常である。


『AIKa』シリーズ(1997-2009年)で知られる西島克彦監督の最新作『魔法少女えれな』(2011年)も、そのような条件に極めて誠実な魔法少女アニメとしてあった。


 その誠実さは、作品のあらすじを抜き出してみるだけでもはっきりする。ヒロイン・えれなの最愛の妹が、突如現れた悪の触手生命体・ゾルドに陵辱されつつある。そんな選択の余地のない状況下で、耳が長く愛くるしい造形の謎の白い宇宙生命体・オーヴィは、えれなに対して魔法少女になるべく「契約」をせまる。止むに止まれず受諾したえれなの前で、そのオーヴィたる白いマスコットキャラは「コネクト!」と歌い上げながら唐突に、えれなの膣口から処女膜を貫通しては侵入し、彼女を戦う魔法少女へと変身させるだろう。しかしいざ攻撃魔法を発動させたくとも、魔力を蓄積するには、子宮内で精液を錬成する必要があると言う。つまりえれなは、他者を救うためにはその都度、触手生命体どもに身体を陵辱される運命を背負わされたわけだ。えれなたちの膣や肛門から断りもなく侵入するドス黒く長い触手の群れは、終いには彼女たちの腹部にあられもない円環を描き出しはじめる。魔法少女に課されるこの種の過酷な運命は、いわば「輪姦の理」とでも呼ぶべき現象だろう。


 エロ年代魔法少女たちを導く輪姦の理。この条件を戯画化して描ききった『魔法少女えれな』は、だからこそ、幾多の視聴者から欲望され、輪し見られねばならない作品である。




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魔法少女えれな Vol.01「えれな、イキます!」≪Lift off≫ [DVD]




 以上0721字。この観点から見れば、エロ年代作家・虚淵玄脚本の『魔法少女まどか☆マギカ』で、巴マミや佐倉杏子が不幸な結末を迎え、美樹さやかがあそこまで執拗に辱められたのも、エロ年代的に正統な処理であったことがわかる。いや、それ以前にそもそも、『魔法少女えれな』が如実に示したこの作法は、エロ年代アニメに本質的である。現に、エロアニメとは不特定多数の男性に視姦されるものであり、その構造は実質的に輪姦と重なる。また触手とは具現化し増殖した男性器そのものであるのだから、触手アニメとはそもそもにおいて、そうしたエロ年代的構造の結実した形態と言える。以降は数回に渡り、この「輪姦の理」を体現するだろう魔法少女アニメを取り上げていきたい。



PROFILE
反=アニメ批評(@ill_critique
アニメ批評同人誌『アニメルカ』責任編集。
思想恥部シリーズ『エロ年代の想像力』責任編集。
『エロ年代の想像力』のほうは現在、ジュンク堂 新宿店、MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店、COMIC ZIN、タコシェ、および通信販売で好評発売中。また『アニメルカ vol.4』(特集:岡田麿里とアニメの物語論)も委託・通販が開始されている。
11/3の文学フリマ(http://bunfree.net/)出展 ブース番号オ-33
『アニメルカ』オフィシャルサイト
反=アニメ批評



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