
エロ年代の想像力
#06 『 とらいあんぐるBLUE 』
アニメルカ出張版
前回は野火止用太入門として、主にその特異な乳房表現に注目した。続けてわれわれは、乳房の揺れの軌跡を追うように、野火止監督作品(全四作)の軌跡を製作年順に追ってイく。今回取り上げるのは、彼の奇跡の処女作『とらいあんぐるBLUE』だ。
『とらいあんぐるBLUE』
(監督:野火止用太、製作:PoRO、全2巻、2009-10年)
エロアニメの最大手の一つ「エイ・ワン・シー」が設立したレーベル「PoRO」の第1弾処女作品『とらいあんぐるBLUE』は、同時に寝取られ(NTR)に特化した18禁ゲームブランド「LiLiM DARKNESS」が手がける「BLUE」シリーズ作品のアニメ化であり、そして何よりNTRアニメの秀作『放課後2 ~紗由理~』(2008年)で絵コンテを担当した野火止用太による瑞々しい処女監督作品である。われわれはさしあたり、本作を寝取られアニメの一つの到達点と見なすことに大きな異論はない。
その理由は一つには、野火止がエロやフェティッシュの対象をNTRを表象するギミックにまで高めてしまった点にあろう。
例えばパンツ。白痴系ヒロイン・あかねが寝取られ時にまとう衣装は、ウエイトレス、裸エプロン、セーラー服、女教師とまるでイメクラのごとくだったが、他方で、パンツに関してだけは、不自然なまでに一貫してBLUEの縞パンたることを堅持する。つまりここでは、寝とりホストの誘惑に軽々と屈してしまうヒロインの「邪」な感情が、縞パンの「横縞=邪」として、冒頭から作品に不吉な影を落とし続けていた。
あるいは概論でも語られた野火止おっぱい。寝取りホストが駆使するヒロイン攻略法は、飴と鞭、泣き落としと威圧との往復運動で織り成されていたが、この落差の激しい振り幅が、野火止特有の瑞々しいおっぱいの揺れ幅として、視覚的にもわれわれに刷り込まれていく。
つまり野火止は、徹底して、精神と肉体とをその巧みな演出と作画によって共振させ続けていたと言える。性的快楽の道は肉体だけにあらず、そこでは絶えず精神が問われる。われわれは野火止作品を通じて、このエロスの両輪を再確認させられるだろう。

とらいあんぐるBLUE 上巻

とらいあんぐるBLUE 下巻
以上、0721文字。あいにく今回はNTRそのものの魅力を語る余裕はなかったし、『とらいあんぐるBLUE』の作劇の妙に触れることも出来なかった。しかし、次回取り上げる監督第二作『カフェ・ジャンキー』は、まさにその二つが幸福な交配を極めた作品と言える。そこでもわれわれは、野火止の乳房の揺れとともに、われわれの心の震えを自覚するはずだ。
PROFILE
反=アニメ批評(@ill_critique)
アニメ批評同人誌『アニメルカ』責任編集。
思想恥部シリーズ『エロ年代の想像力』責任編集。
『エロ年代の想像力』のほうは現在、ジュンク堂 新宿店、MARUZEN&ジュンク堂書店 渋谷店、COMIC ZIN、タコシェ、および通信販売で好評発売中。
『アニメルカ』オフィシャルサイト
反=アニメ批評
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