《魔法少女×アイドル論》3:アイドルの寿命は7年、だって魔法少女じゃないから/ 大塚幸代

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《魔法少女 × アイドル論》

3:アイドルの寿命は7年、だって魔法少女じゃないから

文章;大塚幸代







ここ数年のアイドルブームは過剰だ。若いの女の子が、とりあえずグループを作って歌って踊っていれば、どこからかファンが現れて、コールを繰り返す、というのが不思議だ。アイドルが遠い存在だった昔と比べると、異常事態だ。クオリティの決して高くないアイドルに熱狂するファンを、遠目で見ていると、何かの冗談じゃないのかな、何かのパロディじゃないのかな、と不安な気持ちになってくる。可愛いから、楽曲がいいから応援するんじゃなくて、純粋に「雰囲気」と「応援」のみを楽しんでいるように見える。

実際のアイドルが、アイドル的存在からズレてしまった今、「フェイク・アイドル」というのも、現れている気がする。
例えば、キレイで、チヤホヤされる女装男子は、フェイク・アイドルだと思う。女装男子ファンの友人に聞いてみると「魔法少女のように、男から女に変身するっていうのがいい」「可愛いのに、セックスの対称にならないっていうのがいい」「好きになっても実らない感じがいい」とのこと。アイドルを好きになる感情は通常、「初恋の感覚が続いている感じ」なのじゃないかと思うのだが、女装男子に対する感情は、まさにそれだ。

また、インディーズ音楽シーンでも、気になるムーヴメントがある。「魔法少女」をテーマに、「エイプリルズ」と「その名はスペィド」という2つのユニットがコラボレーションを行っている。エイプリルズは10年以上ライブ歴のあるポスト渋谷系バンドで、男女ツインボーカルなのだが、「魔法少女」になるのは女性ボーカリスト。その名はスペィドは、若い女子なのにドラァグ・クイーンのように顔を塗り込みドレスアップする、ショー要素の高いユニットで、ボーカリストとダンサーが「魔法少女」になる。彼女らが横一列に並んで、アイドルポップスのように甘い曲を歌い、わざとぎこちないダンスをして、魔法のステッキを振り回す。

演者の可愛さは見た目、10代の少女のようだ。そして、そのへんのライブアイドルより、華やかで美しい。

しかし実際は、実力派バンドガールであったり、セクシーなダンサーであったりするわけだ。全く違う立場の人が「ライク・ア・アイドルグループ」をやっているからこそ、可愛いだけじゃなく、倒錯感が破裂し、妙に圧倒的なのだ。

「魔法少女」という言葉ひとつで、フェイク・アイドルという、「アイドルではないアイドル」という概念の、幅が広がる気がする。なにしろ、実際に10代の少女でなくても、さっさと変身してしまえばいいのだから。
今年、本物のアイドルと並行して、フェイク・アイドルは、増え続けていくのではないかと思う。

私は「アイドル寿命7年説」というのを以前から考えて、信じている。広末も加護ちゃんもAKBを辞める前田敦子も、新卒の女の子が30前で身体を壊して会社を辞めるように、7年目で「やっていられなくなった」。だって、「実際は、闘う魔法少女じゃなく、ただの普通の女の子だから」。

アイドルを好きになりたいけど、好きになりたくない。痛みに耐える女の子が、無理矢理笑ってるのを見たくない。いっそのこと彼女が人間じゃなく、魔法少女だったらいいのに。それだったら、無責任に好きになれるのにー。時々だけど、そう思う。そう思っても、仕方のないことなのだけれど。






大塚幸代(おおつか・ゆきよ)

埼玉出身。高校時代に音楽ミニコミ作りに誘われ、出版に興味を持つ。フリッパーズ・ギターのファンジン『FAKE』と音楽フリーペーパー製作をキッカケに、カルチャー雑誌『クイック・ジャパン』(太田出版)創刊編集長・赤田裕一氏に拾われ、学生ライターに。のち96年〜01年まで5年間、『クイック・ジャパン』編集部に在籍、11号〜38号まで編集・企画・執筆。2002年よりフリーランスに。ウェブコンテンツ・雑誌を中心に活動中(読み物サイト「@niftyデイリーポータルZ」は立ち上げ時の02年より参加)。

blog「日々の凧あげ通信」http://blog.hibi.her.jp/




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