アブ世界の女たち ミュウ

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アブ世界の女たち ミュウ インタビュー

文/ANK 写真/五木武利


 春川リサ、夏目衣織などと芸名を変えつつ、これまでに出演したAV作品は、二千本以上にのぼるという射精アイドル・ミュウさん。最近は、AV女優兼モデル事務所の社長としても活躍しているという彼女は、果たしてどんな人生を送ってきたのか。今年の七月でデビュー十周年を迎えた記念に、激動の過去を振り返って頂いた—



 錦鯉が泳ぎ回る、大きな池のある邸宅に住み、食事はお手伝いさんが作ってくれた。家から最寄駅までの間には、自分と同じ名字を冠したビルがいくつも立ち並び、その土地で自分のことを知らない人間はいなかった。ある田舎町の資産家の一人娘。幼い頃のミュウは、両親や親戚から惜しみない愛情を注がれ、蝶よ花よと育てられた。

「幼稚園の頃から、沢山の習い事に通わされてましたね。お琴、日舞、ピアノ、エレクトーン、そろばん、お習字…。お友達もたくさんいたから、快活だったし、傲慢でもありました。本当にお姫様みたいな生活をしてたので、自分の手に入らないものや、出来ないことなんて何もないって思ってましたから…」

 しかし、そんな生活も、ある日、突然、終わりを告げる。父親が多額の借金を背負わされ、破産してしまったのだ。

「よくある話ですけど、父親がある人の連帯保証人を務めていたんですよ。だけどその人に裏切られてしまって…。結局いろんなものを持って行かれましたね。ビルも家も何もかも…。私の友達さえいなくなりました。きっと『あの家はヤバイよ』みたいな噂が広まったんだと思います。狭い街でしたから」

 厳しい取り立てに追われ、家族は夜逃げ同然に引っ越した。新居は、それまで父親が大家を務めていたアパートの一室。そこに今度は、家賃を払って住まわせて貰うことになったのだ。ミュウが小学校四年生のときの出来事だった。

「給食費も払えないような暮らしになってしまって、大変だったと思いますよ、両親は。百円玉をかき集める姿を見たりしたので、私も子供心にショックを受けて、あれが欲しいこれが欲しいとは言わなくなりましたね。それまでは何でも買ってもらっていましたけど…。でも一番印象に残ってるのは、父親が、人に怒鳴ってる姿を見たことかな。以前はいつもニコニコしてた人が、取り立て屋に凄い剣幕で怒鳴っていて…。そんな父親の姿を見たのは、初めてでした。でも、デキた両親で、私に対する態度はまったく変わりませんでした。以前と変わらぬ愛情を注いでくれて。愛されていたという実感があるので、私にとって一番大事なのは、やっぱり両親ですね」

 両親も大変だったろうが、ミュウも辛かった。子供の世界は残酷だ。貧乏人へ没落した元お姫様は、学校でイジメの対象となった。

「友達がいなくなって、それがどんどんエスカレートして行った感じですかね。自転車を川に投げ捨てられたりとか、工作の作品を壊されたりとか、コートに待針が入っていたりとか…。田舎だったので、中学もそのまま持ち上がりですから、環境が変わることもなく、イジメを受け続けていましたね。その当時、不思議に思ったのは、私と一言も口を聞いたことがない人たちまで、イジメる側と仲良くなると、私を一緒にイジメてくるということ。それは男子も似たようなもので、直接何か言ってきてくれれば、対応も出来るんだけど、そうじゃなかったので…。でも、両親を困らせたくないから、グレたりもせず、毎日ちゃんと学校へ行ってました。今、思い返すと、よくやってたなぁと思います(笑)」

 同級生から疎外されたミュウは、恋や性に目覚めることもなく、高校生までを勉強一筋で過ごしたという。孤独の中、ひたすら酷いイジメを耐え忍ぶ少女の心中は、如何なるものだったろうか。高校卒業後は、そんな忌まわしい土地に見切りを付け、横浜にある某国立大学に入学し、一人暮らしを始めた。

「その大学は実家から通ってるコが多くて。なんか、お父さんお母さんに言われるままの人生を送って来て、近場にあるその大学に入りましたというような、優秀で真面目なコばかりだったんですよ。『私、吹奏楽部でした』みたいな大人しい感じのコばかり。ホント、皆、処女だったと思うんですよ。それで、私もずっと友達も作らず過ごしてきたから、エッチな体験はもちろん、そういうことに関する知識や興味もなかったので、せっかく、都会に出てきて一人暮らしを始めたのに、エロいこととは一切無縁でした。猥談さえも受け付けないような、真面目っコとして過ごしましたね。まぁ、根はもともと真面目なんですけど(笑)」

 しかし、大学入学から二年後、やっと異性に対する興味が芽生え始める。

「きっかけは、ホント、つまらないことですけど、やっぱり大学生になって二年も経つと、コンパやサークルでそれなりの男女関係が出来上がってきて、周りの女の子がヤリ始めるですよね。それで、これは自分もヤッておかないとヤバイんじゃないの…みたいな。ただそれだけです。それで、当時仲良かった同級生の男友達三人に、『そろそろヤッておかないとヤバイと思うんだよね』って声を掛けて、同じ日の午前中、昼間、夕方で、それぞれ会う約束をしたんですよ。で、一人目は、マングリ返しされた瞬間に、大爆笑してしまったら、『お前とは出来ない、帰れ!』って言われてしまって(笑)。だって、やっぱり恥ずかしかったし、そんなことされるとは思ってなかったから、『ヨイショ』って脚を持ちあげられた瞬間に思わず吹いてしまったんですよね。でも、記憶にあるのは、そのコのことぐらいで、あとの二人はぜんぜん覚えていません。無事、初体験が終わったのは確かなんだけど、昼の部と夕方の部の、どっちのオチ○チンで処女を失ったのか定かではない(笑)。たぶん、恥ずかしかったし、違うことをいっぱい考えてたんだと思います。痛いとか、気持ち良いとか、まったく覚えてないんですよね」

 だが、それからは一気にヤリマンの道を歩み始める。セックスは、当時のミュウにとって、友達を作るための常套手段になったのだ。

「多分、その頃やっと、本来の自分を取り戻したんだと思うんです。知らない人ばかりの環境に置かれて、やっとリセットされたというか。前向きで意欲的な自分を取り戻しつつあった。でも、その反面、イジメや親が騙されたことの記憶が根深く残ってるから、誰も信用できない、でも寂しいから、いつも誰かと一緒にいたいという感情もあって、大学時代は、毎晩のように遊び歩いて、毎晩、違う男の家に泊まりに行ってましたね。もう、一回セックスしてしまうと、怖いものなしというか(笑)。それで、人と繋がる手段、というか、誰かと出来る限り深く心を通わせたいけど、セックスをするとその疑似体験というか、凄く仲良くなった気がするじゃないですか。それで、すぐに身体を許して、でも、一人に決めちゃうと、その人がいなくなったときのことが怖いから、どうでもいいような不特定多数の男とヤリまくるみたいな。寂しい時代でしたよね」

 当時、セックスが気持ち良いと思ったことは一度もなかったという。

「アンアン言いながらも、心の中では、『早くイケ』って思ってましたね。なんか、自分が気持ち良くなることよりも、綺麗な自分でいなければいけない、相手に気に入れられなければいけい…ってことばかりに頭を使って、自分が楽しむ余裕なんて全然ありませんでした…」

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