都築響一 妄想芸術劇場 第二十三回

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写真が瞬間芸だとすれば、イラストは独演会だ。

観客ゼロの高座で2時間、汗みどろで語りつづける脳内の発情ランドスケープだ。

写真ページの添え物とさげずまれ、アートともイラストレーションとも漫画とも

認知されないまま、ひっそりと増殖する陰花植物。

欲情の、淫夢の、妄想のもっとも純粋なあらわれとしての、マイクロ・ニルヴァーナ!






# 2 3 かずゆき



ほぼ1ヶ月ぶりにお送りする『妄想芸術劇場』。今週ご紹介するアーティストは『かずゆき』である。


ニャン2創刊期の投稿イラスト・ぺージに頻繁に登場しながら、その後はぱったり投稿が途切れてしまった『かずゆき』。ニャン2創刊以前の1980年代後期に白夜書房から創刊された『Crash』にも、ずいぶん作品が送られていたようだが、いまはいったいどうしているのだろう。どこかほかに発表の舞台を見つけたのだろうか。それとも、イラスト投稿を卒業してしまったのだろうか。


ご覧いただければわかるように、画力の巧みさや色づかいもさることながら、『かずゆき』の最大の魅力は画面構成の妙にある。それは、あるときは遠近法を強調した一幅のエロ・パノラマであり、あるときは漫画ふうの画面分割を取り入れた「絵で読むポルノグラフィ」でもある。


いままでこのコーナーで紹介してきた、ほとんどの投稿イラスト職人たちのフラットな画風と見比べてみれば、『かずゆき』の画面に見られる奥行き、空間の広がりが、シロウト離れしていることがよくわかるだろう。例によって、『かずゆき』がどういう人物であるのかはまったく不明だが、おそらくはなんらかの美術教育を受けてきたのではあるまいか。


「マンション・アナル」とか「アソコCo.」とか「(株)コック」とか、画面の隅々、ディテールに散りばめられたコダワリを見つけながら、このミステリアスなアーティストの、ほとんど20年前になるとはとても思えない、ポップな妄想ワールドをお楽しみいただきたい。



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都築響一
1956年、東京生まれ。現代美術、建築、写真、デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集。93年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。96年、日本各地の奇妙な新興名所を訪ね歩く『珍日本紀行』の総集編『ROADSIDE JAPAN』により第23回木村伊兵衛賞を受賞。 97年〜01年『ストリート・デザイン・ファイル』(全20巻)。インテリア取材集大成『賃貸宇宙』。04年『珍世界紀行ヨーロッパ編』、06年『夜露死苦現代詩』、『バブルの肖像』、07年『巡礼』、08年『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』、10年『天国は水割りの味がする~東京スナック魅酒乱~』など著書多数。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中。






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