都築響一 妄想芸術劇場 第二十四回

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写真が瞬間芸だとすれば、イラストは独演会だ。

観客ゼロの高座で2時間、汗みどろで語りつづける脳内の発情ランドスケープだ。

写真ページの添え物とさげずまれ、アートともイラストレーションとも漫画とも

認知されないまま、ひっそりと増殖する陰花植物。

欲情の、淫夢の、妄想のもっとも純粋なあらわれとしての、マイクロ・ニルヴァーナ!






# 2 4 恥丘人



「恥丘人」と書いて、「ちきゅうじん」と読ませるのだろう。彼もまた、ニャン2読者にはおなじみの投稿アーティストのひとりである。


誌面では掲載される作品のサイズが小さいために、なかなかその”味”が伝わりにくいのだが、きちんと輪郭を描いて彩色され、時に文字をプリントアウトして貼ってあるその画面を、こうしてあらためてじっくり見てみると、その丹念な仕事ぶりがきわだってくる。


そして丹念に仕上げられた恥丘人の作品を貫くもの、それは極端にアナクロな画風であることに、諸君もすぐさま気がつくであろう。描かれている行為自体はかなりハードなのだが、女性の顔かたちファッション、仕草、そのすべてが、なんだか初期のビニ本を手本になぞったような、不思議な懐古感覚にあふれている。


それが単に、恥丘人の女性の趣味なのか、彼が年配のアーティストであるのか、あるいはあえて時代に逆行するラディカルな姿勢なのか、それはわからない。しかしひたすら激しく、アクティブな動画や写真やイラストばかりが氾濫する中で、静かで、乾いた、恥丘人の無表情な女たちは、我らをポルノグラフィの原点に引き戻してくれるようでもある。「スティルライフ」とは静物画のことを指す美術用語だが、恥丘人の作品こそは、ことばの最良の意味での、エロのスティルライフなのだ。






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都築響一
1956年、東京生まれ。現代美術、建築、写真、デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集。93年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。96年、日本各地の奇妙な新興名所を訪ね歩く『珍日本紀行』の総集編『ROADSIDE JAPAN』により第23回木村伊兵衛賞を受賞。 97年?01年『ストリート・デザイン・ファイル』(全20巻)。インテリア取材集大成『賃貸宇宙』。04年『珍世界紀行ヨーロッパ編』、06年『夜露死苦現代詩』、『バブルの肖像』、07年『巡礼』、08年『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』、10年『天国は水割りの味がする~東京スナック魅酒乱~』など著書多数。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中。






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