都築響一 妄想芸術劇場 第二十六回

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写真が瞬間芸だとすれば、イラストは独演会だ。

観客ゼロの高座で2時間、汗みどろで語りつづける脳内の発情ランドスケープだ。

写真ページの添え物とさげずまれ、アートともイラストレーションとも漫画とも

認知されないまま、ひっそりと増殖する陰花植物。

欲情の、淫夢の、妄想のもっとも純粋なあらわれとしての、マイクロ・ニルヴァーナ!






# 2 6 山 本 一 夫



山本一夫はオムツ・マニアである。『おむつ倶楽部』のような専門誌ならともかく、『ニャン2』のようにノーマルな(?)エロ投稿誌では、稀少な投稿者だ。


山本一夫が一貫して描くのは、オムツを当てられた女性。それもバレリーナ、フィギュアスケーター、新体操選手、花嫁など、若く可憐な娘たちが、舞台で、スケートリンクで、結婚式場でと、ありえない空間でオムツ姿をさらし、おもらしを目撃されるというシチュエーションに、激しくこだわりつづけてきた。


一見しておわかりのように、山本一夫の画風は稚拙と言えるほどにナイーブだ。ぶっきらぼうな輪郭だけであらわされた身体。責める側も、責められる側も徹底的に無表情であり、凍りついたように画面に動きが感じられない。これを技量のつたなさと切り捨ててしまうと、山本一夫の絵から滲み出る、なんとも言えない魅力がわからないことになる。


この一連の作品を見て、瞬間的にクロソウスキーを想起する方もいらっしゃるだろう。フランスの思想家ピエール・クロソウスキーはバルテュスの兄としても、マルキ・ド・サドやニーチェの研究家としても知られているが、彼にはまた『ロベルトは今夜』という不思議にエロティックな小説がある(のちにみずからの制作で映画化)。


読んだ方はおわかりだろうが、文中に何枚も差し挟まれる、クロソウスキー自身の筆によるヒロイン、ロベルトのスケッチは、まさしく山本一夫の作品のように無表情で、動きのない、稚拙な筆致そのものだ。またそれが、ビザールな文章に独特の魅力を付加している。


クロソウスキーにとって、山本一夫にとって、絵画の習熟度とか、完成度というものは、なんの価値もないのだろう。彼らが描きたいのでは一枚の絵ではなく、描かれるべきひとつの物語なのだから。それは技術者の図面のようでもあり、子供がこっそり落書きする性交図のようでもある。


今週・来週の2回にわたって、この知られざるオムツ画家の作品を紹介する。今週はカラーのシリーズをまとめて、来週はまた独特の味があるモノクロームの作品群をお見せしよう。




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女ランボーの下半身の装備コスチューム
装着尿器をつけるとどんなジャングルの奥地に行っても、水は、蓄尿器の中野イオン交換装置によって、下部より飲料水を得ることができる



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前回の選挙で大敗した女性党首は、責任を取って、人前に出る時は、必ずオシメカバーを当てる事に成った。前回の選挙でオシメカバー製造会社より多額の選挙資金を援助されていたので、宣伝と党内の批判をかわすためである。今回、消費税問題で、大勝してようやく、党首もオシメカバーをとることができる。
「委員長おめでとうございます。これで恥ずかしいオシメカバーをはずすことができますわね」
「どうもありがとう」
オシメカバー製造会社から派遣されたナースは、委員長付きの秘書も兼ねていた。ナース「委員長、奥にオシメを替える用意ができてますわ」
委員長「まぁ、いやだわ、こんな場所へオシメカバーを持ってくるなんて…」
ナース「あらら、委員長、もう洩らしてしまって…」



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プリマバレリーナが、生け捕りにされて、診察台へ固定され、婦人科の診察を受けなければならない。



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敵の手の内に落ちたプリマXは、鉄格子の内の海坊主に大きく開脚されて、小水を・・



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劇場出番前に医務室へ呼ばれたプリマバレリーナ
ナース「先生、○○さんを連れてきました」
Dr「上原さんね、あなた尿失禁なさるのね」
Dr「踊る前にオシメを当ててもらいますから、そのベットへ寝て下さい」
プリマ「ええ、いやです、オシメなんて!」
Dr「わがまま言ってはいけません、舞台で失禁したら恥ずかしいのはあなたよ!」



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おしめカバーを当てた女子フィギュアスケートの選手。おしめカバーから漏れた小水。



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敵側にとらわれたプリマバレリーナは、両足首に鉄のくさりをつけられ、レーザー光線が股間に迫る。高圧浣腸を受けながら、死の予感がする。



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悪の組織に潜入したヒロインは、服を脱がされて、SMのごうもんを加えられる。
口からは男の尿を飲まされて、肛門からは高圧浣腸液を入れられる。
その後、下肢に貞操帯、頭にはカギ付き鉄仮面をかぶせられ、皮のブラジャーでオッパイをくり出すのだ。
地下にかい殺し同然に生きるどれいとなる。
外部から救いがなければ、自力では脱出できない。
ああ、ヒロイン危うし!
二度と日の目をみることができるのか?



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らわれの身に成ったプリマは、ベットに手を手錠をかけられ、浣腸をされる。
おしめを当てられる準備がされている。



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バレエの発表会にて、
オムツを当てたプリマが小水を洩らした。



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新体操



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某オムツカバーメーカーの試作品を着けて、スケートの練習にはげむ



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「フィギュアスケートの女子選手のストーリー」




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女子バレーボール大会(ユニーホーム対決杯バレーボール)
オムツカバーチーム対ちょうちんブルマーチームの対決
ユニーホームはオムツカバー
恥ずかしいユニホームで試合をしなければならないのである。



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チアリーダー



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チアリーダー



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ジャンボ機の客室でスチュワデスにオシメを替えられる。



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金びょうぶの裏では、花嫁は、濡れたオシメを替えられる。
お色直しは、オシメ替え。式場係の女性は、姑の立ち会いでオシメを。
小さな女子「お姉ちゃん、気持ちいい?」 姉「だいじょうぶよ」



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式服はオムツカバー

結婚披露宴の、オシメを当てた花嫁
金びょうぶの裏では、オシメの用意がされていた。お色直し用オシメ。
招待客の中には、それに気づく女性もいた。
「花嫁さん、洩らしているわ! 見て、裏でオシメの用意がしているわ!」



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「二十歳の夜尿症娘。日曜日の朝の失敗。おしめは恥辱の衣裳。母に折檻を受けるOL」

由美は、商社に務める二十歳のOLである。日曜の朝、布団を濡らしてしまった。
毎晩、オシメをあてて寝るのだが、その夜だけは飲み過ぎて帰宅してうっかりオシメをあてるのを忘れる。
そして、今朝の失敗である。朝、その事を告げると母は、由美をネグリジェ姿のまま、柱へ縛りつけた。
「ママ、ひどい!! 今日デートの約束があるの。この縄をほどいて!」
「何をいってるの、おねしょする娘が、男とデートするなんて、まだ早いわ。しっかり反省しなさい。今日は外出禁止です、いいわね」
「ママ、ごめんなさい、もうしませんから、今夜からは必ずオシメをあてて寝ますから、今日だけは許して」
「何を都合の良いこと言っているの、お庭を見てごらんなさい、おみつさんがあなたのオシメ干してるのよ。二十歳にもなってまだオシメが取れないなんて、ご近所の方にどう言い訳するのよ。ご近所の奥さんがたに、ご病人ですかなんて、さぐられるし、良い恥さらしだこと。今日はこのオシメを当てて反省しなさい、トイレは使用を禁じます」
母は、ネグリジェを捲ると、由美の股内へオシメをあてがった。



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女賭徒、お柳姐さん、ひきょうなやくざ達のわなにはまって、戸板の上へ丸腰で四肢を縛りつけられてお尻の下へオシメが敷かれ、張型で責められた。
戸板の周辺には、オシメや尿器、おまる、浣腸の用意がされている。
これから始まる地獄のような女責めが暗示される。
修羅場を数多く通ってきた度胸あるお柳もさすがに、いいしれぬ恐怖にお小水を洩らしてしまった。



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「ああ…っ、よしておくれ、お巻さん」
「何を言ってるのよ。私が親切にオシメを当ててやってるのに」
「オシメだなんて、私にまだ恥をかかせる気なのかい」
「鉄火姐さんが、オシメぐらいでうろたえるなんてだらしがなわね。皆、笑っておやり」



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馬の轡を股間にきびしく掛けられたお竜

宴席の戸板の上に丸裸にされて四肢を縛られたお竜。
股間には、馬のくつわを掛けられている。
姐御が張型を選ばせている。
「お竜さん、どっちがいいか、選びなよ」
戸板の周囲には、浣腸やおまる、オシメがぎっしりと用意されている。



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ファイヤーウーマン危うし!



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ファイヤーウーマン 縛られる、さるぐつわをかけられる。
不意をつかれて男戦闘員につかまる。
婦人用装着尿器は、尿を飲料水として再利用する装置である。
太股に固定した畜尿器には、イオン交換膜と何重もの浸透膜を通過する事により下部より飲料水として取り出すことができる。
砂漠やジャングルで10日以上、水無しで過ごせる。
しかも、生ゴムでぴったりフィットするから、パンティ替わりにできる。



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悪の組織に潜入したヒロインは、正体がバレて丸裸にされて、貞操帯を外されて、地下室の壁へ鎖に四肢をつながれて、爆薬尿器を体につけられる。
利尿剤を飲まされて、尿が太股に固定した尿袋へ満タンになると、ダイナマイトの起爆スイッチが入り、爆発するメカニックになっている。
いかに尿意をガマンしても利尿剤を飲まされていては、ガマンできない。
自分の排尿の量が命の時間である。
しかも壁から二つくり抜かれた穴から男の手が、ヒロインの豊かなオッパイをもみあげる。
「ウウ…ッ」
四肢を縛られてそれを回避する手段もない。
危うし!



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けっこう仮面は敵方にとらわれて、縛られて、浣腸をかけられて、オシメをナースに当てられる。



山本一夫048.jpg山本一夫048.jpg山本一夫049.jpg山本一夫049.jpg



山本一夫050.jpg山本一夫050.jpg山本一夫051.gif山本一夫051.gif



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都築響一
1956年、東京生まれ。現代美術、建築、写真、デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集。93年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。96年、日本各地の奇妙な新興名所を訪ね歩く『珍日本紀行』の総集編『ROADSIDE JAPAN』により第23回木村伊兵衛賞を受賞。 97年〜01年『ストリート・デザイン・ファイル』(全20巻)。インテリア取材集大成『賃貸宇宙』。04年『珍世界紀行ヨーロッパ編』、06年『夜露死苦現代詩』、『バブルの肖像』、07年『巡礼』、08年『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』、10年『天国は水割りの味がする~東京スナック魅酒乱~』など著書多数。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中。






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