女流官能小説作家 小川沙耶

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女流官能小説家・小川沙耶 

文/藤森洋介


2011年6月6日に小川沙耶によって上梓された【美人妻 肉棒狂い】。

タイトルの通り、人妻にスポットを当てたノンフィクション小説である。

女性ならではの視点で書かれるその内容は、男性作家にはない淫靡さが漂う。

そして今回、著者である小川沙耶さんにメールインタビューを依頼した。

小川沙耶、26歳。

彼女が語る官能の世界とは。





?お忙しい中、インタビューお引き受けいただきましてありがとうございます。ではまず、小説家になろうと思ったきっかけはどういったところからですか?



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小川沙耶(以下:小川) 私のようなものを取り上げていただきまして、どうもありがとうござます。緊張します。笑

さて、小説家になろうと思ったきっかけですが、明確なきっかけっていうのはあまりないかもしれません。

ただ子供の頃から空想やお話づくりをするのが好きだったんですね。自分と好きな男子の恋愛ストーリーを妄想して、それをノートに書いてバレないように机の中にしまっていました。

で、大人になってからはそれがノートじゃなくてブログになって、小説になってという流れですね。

合コンで知り合ったライターさんからスポーツ新聞の編集者の連絡先を聞いて、そこに原稿を送ったんです。








?数あるジャンルの中から、なぜ官能小説をお選びになったんですか? 


小川 5,6年前の話になるんですが、その時付き合っていたカメラマン志望の男性に、インリンオブジョイトイさんの写真集「性戯ノ見方」を見せられて。カメラマンは斉門富士夫さんで、そこに大泉りかさんが小説を載せていたんです。それを読んで、ああ、官能小説ってこんな展開の仕方もあるんだなって。そんな感じで、このジャンルに照準をしぼりました。





?実際に官能小説を書き始めてからの周囲の反応はどうですか?


小川 基本的に秘密にしているので、そんなに変わったことはないかもしれません。仲の良い友人は、ヌードグラビアを見るために、コンビニでエロ本を、こう、隙間から覗いたりしている私を普通にみていますしね。

小川沙耶という名前でツイッターを初めてからのフォロワーさんたちは、基本的に全然知らない人ばかりなんですが、思ったよりも紳士で、ネット上のセクハラ的なものもないんですよ。



?小説内のネタの着想はどういったところからですか?


小川 完全なフィクションに関しては、すれ違った女性の髪のみだれや、マンションのエレベーターで乗り合わせたデリヘル嬢風の女性を見たときなどにふと思い浮かびますね。エロスとか秘密を感じさせるものに触れた時が多いでしょうか。

最近では、ヤフオクで古着を売っている女性が、その服を自ら着て写真をアップしているのを見て、ちょっとしたストーリーにしてみようかな、と思いました。




?作品内に実体験のネタを出されたりする事はありますか?


小川 断片的にならありますね。最初から最後まで私の話っていうのは、売り物にする小説の場合はほとんどないです。

そういうのはやっぱり、自己満というかオナニーになっちゃうんで。

って、このオナニーはオナニー的なっていう意味ではなくて、実際のオナニーの事です。自分の体験は自分がオナニーするときに使うものなので、子供の時の秘密のノートみたいな感じでこっそり閉鎖的なSNS内に書くことにしてます。

最近は忙しくてあまり書けてないんですけどね。



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?「美人妻肉棒狂い」を読ませていただきましたが、人妻を題材にしようとしたのはなぜですか?


小川 日刊スポーツで連載していた「ペニ狂い」の中で、風俗を始める人妻の話を書いたんですが、これの評判が良くて。文庫にする段階でも、この感じを求められたので、だったらいっそ全編人妻ものにしたほうが統一感があるかな、と思って。

あと、私は今独身で、今後結婚して人妻になるかもしれないわけじゃないですか。独身の私が書いた人妻ものと、人妻になった私が書いた人妻ものをいつか比べてみたら面白いだろうな、っていう気持ちもありましたね。





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禁断の投稿ドキュメント 40 美人妻 肉棒狂い (大洋文庫)








?今回インタビューされました人妻たちを通して、既婚女性の性に対する意識の変化等は感じましたか?


小川 うーん。もともとエロい人、エロい話ができる人にしぼってインタビューしたので、全体的なことはよくわからないんですが、やっぱりバブルを経験した女性っていうのはすごいな、と思いましたね。テンションが高いんですよ、日常的にも、男性に対しても。

私たちの世代はどちらかというと「かったり~」みたいな雰囲気で、性的に男性と向かいあったりすることもあるんですけどね。それが今回の人妻さんたちからは全く感じられませんでした。積極的で、淫乱というよりも、なんだかもう一周まわって健康的、みたいな。




?女性の立場から、あえて「肉棒狂い」といったような、女性蔑視的なコンセプトを用いることに対しては、どのようなお考えをお持ちですか?


小川 日刊スポーツの連載のタイトルが「ペニ狂い」で。これは男性編集者がつけてくれたタイトルなのですが、それがちょっと形を変えて、美人妻・肉棒狂い になったんです。これも書籍の担当者が決めてくれました。でも、狂うっていう字を使っているからか、楽天ブックスさんでは取り扱ってもらえてないんですよ。そのあたりでちょっと失敗したかな、とも思ってます。

自分でも「童貞肉棒ハメ殺し」とかいろいろ考えたんですが、どうもタイトルセンスが女性らしくないみたいで却下されました。笑

コンセプトというかタイトルの話になっちゃいました。




?「人妻」とはつまり「他人の女」です。それを奪う、あるいは一時的に占有する背徳感、あるいは旦那を裏切る背信行為に女性の倫理が崩壊していく様を眺める愉楽などが、男性視点的な人妻のエロスだと思うのですが、それは女性にとっても同じでしょうか? もし違うのであれば、どう違うのでしょうか?


小川 あくまでも私の話なんですが、そんなに大きな違いはないと思います。




?人妻にインタビューをされて、小説には書けなかった話はありますか?


03.jpg小川 有名人とヤッた、的なことは書けませんよね。笑

あとは、中学生のころから風俗に務めてた、とかも外しました。

他にはあったかなあ?

近親相姦的なことも書けなかったです。書いてもよかったのかもしれないけど、本人がちょっと暗い顏をしたので、書くのはやめました。




?官能小説を書くにあたって、こだわりや気をつけていることはありますか?


小川 抜ける文章を書くことですかね。あと、ナルシストっぽい文学的な表現はしない事。まあ、私が文学的な人間じゃないので、文学的になりようがないんですが。笑




?女性官能作家として、エロスとはどういうものだとお考えですか? 男女同権が当然という風潮の中で、エロスは機能すると思われますか?


小川 難しい質問に戸惑っています。笑

フランスのスーザンキリアムという人が「官能小説でよくある、女性が男性に性を目覚めさせられる的なストーリー展開はおかしい、女性にとって毒」みたいなことを言っているようですが、どうなんですかねえ。個人的には女性の性は男性に目覚めさせられるものであって欲しいと思っていますが。



?では、官能とは、つまりどういうことなのだと、お考えですか?


05.jpg小川 私みたいな駆け出しの作家が答えられるようなものではないのかもしれませんが、物語の中で、女性をより淫靡に魅力的に魅せる薄暗い居酒屋の鏡みたいなもの、でしょうか。あとはお通し。メインではない感じ。セックスメディアのメインはやっぱりアダルトビデオだと思いますし。

ビールを飲みに来て、ついでに食べたお通しが美味しかったら、次は単品で頼んでくれるかもしれない、みたいな。

すみません、自分でも何言ってるのか全然わかりません。笑




?ご自身の性遍歴について少しお聞かせ下さい。処女喪失、どういったプレイをしてきたか、また例えば特定のプレイをすることで何か特別に感じたことはありましたか。


小川 処女喪失は18歳と、少し遅めでしょうか。この人と結婚するから、私の生涯の体験人数は一人だけなんだな、とかかんがえながら喪失したと思います。実際には全くそうなりませんでしたけど。笑

特別に感じたことと言えば、取材で行ったハプニングバーで、嬢王様に縛られて、そのままだっこされて場所を変えられた時に、なんだか身体の力が抜けて、赤ちゃんになったような気分になったんです。もっとこのままでいたいっていう感じで。だからといってセックスでも縛られてみたいかというと、それはないんですけどね。




?小川さんが考える最高のセックスとはどのようなものですか? 


小川 先の展開がわかるようなありきたりで日常的なセックスです。安心感があるのがいいな。刺激を楽しめるようになるにはまだ若いのかもしれません。





?それは作品内に出ていたりしますか?


小川 いやー。私の最高のセックスを作品の中に出したら、それはそれはつまらないものになりそうなので。出していないつもりですが、読者さんはどう思っているのか気になるところです。




?最後に今後の展望をお聞かせいただいてもよろしいでしょうか?


小川 小説にこだわらず、連載を増やしたいですね。

あとは、いつか自分の写真を挿絵にした官能も書いてみたいんです。20代最後、とか何かの記念に。笑

そして、普通に結婚して、普通に子供を産んで、家族に内緒で官能小説を書いてみたいですね、ここは普通じゃない感じで。

家事の合間とかに書いたら、何か違ったものが見えてくるかもしれない、なんて思っているんですが、実際そんなに変わらないのかな、とも思います。笑






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小川沙耶(おがわさや)

26歳。派遣OLと並行して官能小説の執筆を続ける。
週刊大衆臨時増刊『制服美人スカートの奥』に官能小説「秘密スキャンティ」を掲載。
Menjoy オトコを楽しむための女性マガジン』にてコラムも執筆。