【VOBO】団鬼六・追悼絵画展@ヴァニラ画廊

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団鬼六 追悼絵画展 ヴァニラ画廊

Dan Oniroku

取材/辻陽介


2011年5月6日に逝去されたSM文学の巨星・団鬼六氏。


性の世界に身を置く者、いや、表現行為に従事する全ての者にとって、余りにも偉大なる先人の急逝に、幣誌においてもその直後、各方面から追悼文を募り、慎ましいながらも追悼記事を組ませて頂いた。ご覧頂いた方もいることだろう。


あれから早くも三ヶ月が過ぎようとしている現在、東京は銀座に位置するヴァニラ画廊にて、団鬼六・追悼絵画展が開催されている。


「今回の展示は、団鬼六さんが1970年代に編集されていた『SMキング』という雑誌があるんですが、その雑誌で団さんの小説の挿絵を描かれていた挿絵画家の方々の作品を一同に集め、挿絵という切り口から団先生の功績を再び振り返ろうという試みですね」


そう語るのは、ヴァニラ画廊オーナーの内藤巽氏。


「団さんの小説に『花と蛇』シリーズというものがありますが、これは日本のSMの代名詞のようなもので、SMという言葉を知らなくても『花と蛇』は知っているなんて人もいるぐらいです。そういう意味に於いても、団さんが果たした功績はやはり非常に大きいものですから」


展示スペースには、挿絵のみならず、団氏の小説の装丁原画、さらに今回の展示のための描きおろし作品なども展示されており、また展示作家も堂昌一、沖渉二、宇野亜喜良など錚々たる面々だ。


作品の多くは、いわゆる劇画調と呼ばれるタッチもので、昨今のポップなエロ画とはまた異なる、描線のエロティシズムとでも呼ぶべき艶かしい雰囲気をたずさえている。古くからの鬼六ファンばかりではなく、団鬼六を深く知らない若い世代にも、この機会を通じて昭和挿絵の艶かしさを知ってもらいたいのだ、と内藤氏は言う。


「例えば堂昌一さんの挿絵を眺めてみても、女性の表情に気品があるんです。団鬼六さんを通じて、昭和の出版文化の歴史、昭和の挿絵の面白さのようなものを見て頂ける良い機会だと思ってます」


また、展示スペース中央のガラスケースの中には、団氏の直筆原稿をはじめ、小説執筆の際に氏が使用していたのであろう万年筆や拡大鏡といった貴重な品々が陳列されており、鬼六ワールドの舞台裏を垣間見せてくれる。壁面中央を黒白で飾る鬼六法被もまた、「一期は夢よ、ただ狂え」と嘯き続けた遊びの人・団鬼六の磊落な生き様を象徴するように、しめやかな追悼の空間に一抹の諧謔をそえている。


なお、当展示は8月6日(土)まで。日本のSMの礎を築いた文豪と画家達の共同作業、その至高のシナジーを追体験しに、是非とも一度足を運んでみて欲しい。





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団鬼六
(だんおにろく)

一九三一年滋賀県彦根市生まれ。関西学院大学法学部卒業。
五七年「親子丼」で文藝春秋オール新人杯に入選。
バーを経営したり、教師をしたりしたが、六○年代『花と蛇』が人気を博し、官能小説の第一人者となる。
一時断筆していたが、九五年に『真剣師 小池重明』で復活。
著者には、『悦楽王』『往きて還らず』『死んでたまるか』『地獄花』など多数ある。
二〇十一年五月六日、永眠。



団鬼六・追悼絵画展

「Dan Oniroku」@ヴァニラ画廊 ~8/6  耽美と反逆の無頼派作家、団鬼六氏が2011年5月6日に79歳で逝去されました。本展では追悼の意を込めて、団鬼六氏と生前にかかわりのあった画家たちによる挿画や装丁原画を展示し、この稀有な作家の業績と人柄を振り返ります。作品が発表された当時の時代の気配を伝える貴重な原画と、本展のために特別に描きおろされた作品も展示します。独特な美意識とアウトロー的な世界観を築いた団鬼六ワールド、この作家と画家の共同作業を特とご賞玩ください。

ヴァニラ画廊



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