内なる辺境の人々 × ネ申 

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内なる辺境の人々

田代まさし 

俺は初心に帰るとシンナーとか吸っちゃうのよ

文/辻陽介 写真/五木武利



(2010年3月 西荻窪にて)


「ガキの頃からそうだと思うんだけど、たとえば女風呂を覗きたいだとか、誰しも男だったらもってるもんだと思うんですよ」


 取材開始早々、話題はいきなり核心部分へ。


「昔は銭湯の時代だったんだけど、わざと番頭で大きいお札出してお釣りにかかる時間を長くしたりさ、そういうのって皆にあるでしょ。要はそれを大人になってから行動に移すか移さないのかの理性の問題であって、気持ちは全員あると思うんだよ。性癖に関してもそう。各自それぞれ皆もってるもんであって、ケツだったり、胸だったりさ。俺はそういう部分では“垣間見たい”というかチラリズムが好きでね。で、まぁやっちゃったわけ」


 田代まさしの転落劇、それは新しいミレニアムの到来と同時に幕を開けた。


 00年に発覚した都立大学駅構内における下着盗撮に端を発し、同年の謝罪会見において自ら火に油を注ぐ結果となった「ミニにタコができる」発言。更に、ほとぼりも冷めやらぬ翌年末に男性宅風呂を覗いたとして現行犯逮捕されると、その際の家宅捜索により自宅から覚醒剤が発見され再逮捕。事務所を解雇後、一時はVシネマの監督などを務め復帰の道が開きかけたが、04年に自動車運転中、転回禁止箇所を転回した上での人身事故を起こし、復帰は白紙に。加えて同年、覚醒剤及びバタフライナイフを所持していたとして覚せい剤取締法違反と銃刀法違反の併せ業で現行犯逮捕、3年6ヶ月の実刑判決処分。


“一体、貴方はどこまで堕ちていくんですか? ”


 傍から見ていて思わずそんな突っ込みをいれたくなる程の転落ぶり。芸能界の成功物語には山谷がつきものと言えど、これはちょっと尋常じゃない。


「多分、芸能界のトップにいなきゃいけないっていう使命感みたいなものに俺は縛られていて、そこから自分を解き放ちたいってのがあったのかもしれない。ちょっと抽象的な言い方になるけど、よく命の洗濯って言うでしょ。命ってさ疲れたり汚れたりしちゃうもんなのよ。たまに洗ってあげないと駄目。ただ、俺は洗うための洗剤の“粉”を間違えちゃった(笑)」


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 お馴染みの愛称は“マーシー”。その芸風については、もはや説明不要だろう。二枚目の風貌から繰り出される、オヤジ臭いダジャレや、数々の小ネタ。大爆笑を誘うというのではないが、常に安定した緩い笑いをもたらし、多くのバラエティ番組を沸かしてきた。一時期はテレビでマーシーを見かけない日はない程に番組に出演していたが、かといって物凄い人気があったのかと言えば、そんなイメージもない。どちらかと言えば、「そこにいるのが当然」といった感覚。


「負け惜しみじゃないんだけど、あれだけ仕事してたのに好きなタレントのベスト10にも嫌いなタレントのベスト10にもどっちにも入ったことがないの。そのどちらにも入らず第一線に居続けたってのが自慢だったんだけど、事件起こした後に『SPA』って雑誌の嫌いなタレントランキングベスト3に入っちゃった。ちなみに1位が麻生太郎で2位が小島よしお。でも、逆に考えたらさ、あんな事件起こしたのに、その名前に並べてもらえるんだって思ってさ。変な嬉しさがあるよね」


 若い世代にとっては、タレントとしてのイメージが強いかもしれないが、元々は田代まさしは歌手である。いや、そもそもは新宿の不良少年だった。さて、ここからは一問一答方式。とっくりとマーシー論を堪能あれ。

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