アブ世界の女たち 結月里奈 2

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ーその時代に彼氏はいたんですか。

「彼氏ネタは一応まだアイドルなのでやめましょう」

ーなるほど。

「すいません」

ーでは、レースクイーン同士の交流はありました?

「最初の2年間は事務所に禁じらてたのでなかったですけど、フリーになってから色んなコと話すようにはなりましたよ。私、結構、友達っていうか、知り合いが大勢いた。だけど本当の友達って1人しか出来ませんでしたね。やっぱライバルっちゃライバルだし、足の引っ張り合いだから」

ー足の引っ張り合い?

「女の仕事ってそうじゃん、なんでも。戦いだから。嫌がらせもあればイジメもあるし、何だろう、ポロッと私生活のこと言っちゃっうと、翌日にはブワーッて噂が広まってたりとか、大変ですよ」

ー悪口を言われることが多かった?

「言葉だけじゃないですよ、全然。何でもありますよ。たとえば、あるレースで尊敬する先輩レースクイーンと私が孤立したんですよ。そのチームは詰め込みで10人ぐらいいて、でも実際レースに行ったら4人しか立てないのね。だから戦い起きるじゃないですか」

ー戦い、起きるんですか。

「起きますよ、もちろん起きますよ。で、なんか、ある時、富士スピードウェイで、5メートルぐらいの旗がぶっ倒れて来て。って言うか誰かに倒されたんだけど。それで背中の肉が抉れたりとか。あと私、階段で後ろから蹴られたこともありますよ」

ーすごいですね。スケバンの世界だ。

「うん。女はやばいよ。あと、女の子と相部屋だった時に、私、見かけイイ人なので、『ああ、いいよ、良かったら先にお風呂入って』とか言っちゃうんですよ。思ってないんだけど、本当は。それで、お風呂からそのコが出てきたら、自分のシャンプーとかリンス、全部捨てられてた時とか。あと排水溝が全部詰まってて流れなくなってたりとか、そういうのもありましたよ。二人部屋だから、ソイツしかいないんですよ、犯人は。ただ私ね、面倒臭いことが大嫌いなの、O型だから。対立するのが好きじゃない。だから構わないで放っておく。冷めてるのね、ちょっと」

ーそういう女の醜い戦いがあるんですね。

「特にレースクイーンとかだと、チームに何人レースクイーンがいようと、傘、選手に差せるのは一人なの。それがトップ。選手に傘差さなきゃ意味ないんだよ! それ以外は雑魚だから!! そう、雑魚じゃ意味ないの。雑魚じゃ取材も写らないし、雑魚だと、レースクイーン雑誌しか載れないしね。後のモータースポーツ雑誌とかは、選手に傘差してないと、しかも有名チームじゃないと載れない。だから、『フラッシュ』とか、ああいう雑誌に載りたくて、わざとハミ毛するコとかもいましたよ」

ーハミ毛ってわざとするんですか!?

「何でも目立てばいいんじゃないですか、そういうコって。でも、何かそれは私、嫌い。自分も目立つことはもちろん好きだったけど、それだとやっぱチームの人には嫌われるんだよ。スポンサーとか、オーナーだけ好かれればいいって思うのは馬鹿だと思うね、私は。あんまり好きじゃないの。チームには色んな作業してる人いるでしょ。メカニックの人。メカニックの人に嫌われるのが嫌なの、私は。やっぱチームが一丸となって戦う。そういう体育会系のノリが好きなんだよね。だから普通、レースクイーンって土曜日の予選と日曜日の決勝が仕事なんだけど、木曜日の朝に行って、ストップウォッチやってメモするの手伝ったりとか、チームの子供と遊んであげたりとか、おにぎり作ったりしてましたよ。私はその方が楽しかった。身体は疲れるけど、忙しいほうが充実するからね」





 そんな彼女も、「今はDVDで脱いでるし、レース行くのも微妙っちゃ微妙」とのことで、ここ一、二年、レースの仕事はやっていないそうだ。が、知られざる業界の内幕を訊けて大変面白かった。アダルト雑誌のキャンギャル投稿コーナーの見方も、よりリアルで味わい深くなるというものだ。しかし、今回取材した目的は、レースクイーンの裏話ばかりを聞きに来たわけではない。意外にも彼女は縄師という肩書も所持しているのだ。どちらかといえば、本誌的にはこっちがメインの話。これまでの話しぶりから受けた印象は、『少女っぽさが抜けない、ちょっとヤンチャでおしゃべりなお嬢様モデル』といった感じで、どうしても縄師というイメージとは結びつかないのだが、とりあえずは、縄と出会ったきっかけから訊いた。


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「きっかけは、グラビアとかパチンコのキャンペーンの仕事でご一緒してお友達になった、相川ナナちゃんっていうコがいるんですけど、そのナナちゃんがこのお店のオープンと同時にママになったんです。それで、『一度遊びに来なよ』ってずっと言われていたので一昨年の春ぐらいに遊びに行ったんですね。。そしたら面白かったんですよ。女王様の衣装とかも着れるしね。それで、その後も頻繁に遊びに行くようになって。そしたら、このお店のプロデューサーである朝霧リエさん(日本のカリスマ女王様の一人と言われてる)が、『この子働かせちゃえばいいじゃないですか』ってなって。そういう人なんですよ、リエさんって」

ーはい。

「でも最初、飲食店かぁ…って思って、あまり乗り気じゃなかったんだけど、このままボーッと暮らしてるのも微妙だし、ブログのネタにもなるしと思って働かせて貰うことにしたんです」

ーなるほど。お店勤めは初めてだったんですね。どうでしたか、働いてみて。

「今は固定のシフトが水木土なんだけど、楽しくて月曜日も意外といるみたいな。最初は何だろう、SMのお客さんとお話するのって、やっぱ難しかったんですよ。色々話してくれる人とか聞いてくれる人ならいいけど、全然しゃべらないお客さんもいるし。でも、カメコの人が結構来てくれて、そしたら自分も安心するじゃない。やっぱ知ってる人だから。もう、5年だの8年だののファンの人だから。で、カウンターに乗っかって写真撮ったりとかして、それを他のお客さんにも受け入れてもらえたので楽しかったの。最初はそれがきっかけかも。このお店に居つけたのは。あとはここで働いてる人が皆すごく大人で、色んな事を受け入れてくれるから、入りやすかったのはある。レースクイーン時代って、女同士で仲良くするなんてなかったからね。ここは女の職場なのに皆仲良いのね。それは私にとってすごく新鮮だった」

ーそれで縄を始めるきっかけは。

「それで、入ってからしばらくしたらリエさんに、『そのキャラで縛れたら面白いと思うよ』って言われたの。別に女王様女王様っていうキャラを作るんじゃなくてね。私には女王様は無理だから。リエさんにしたら何か見たことない人種だったっぽいんですよ。最初、珍しがられて。それで、色々なことがあったんだけど、結局、『ミルキーウェイ』っていう五反田にあるSMバーの緊縛教室に通い始めたんです。それがちょうど一年前のこと」

ー一年前に習い始めたばかりですか。

「そう。で、そこの講習料がすごい安くて、安いってことは何か微妙なのかなとは思ったけど、実際は、すごいアットホームで良い先生で。普通、講習って生徒が10人とか20人とかいて、『先生、遠くて見えませ〜ん』って感じだけどそこは、定員2名なの。だから私と友達で貸し切り、本当にすごい丁寧に教えてくれて楽しかったんですよ。もちろん最初は難しくて、本結びもできなかったんですけど」

ー本結び?

「本結びって言って、もやい結びの変形版みたいなものなんですけど。もやい結びは船舶をやってる人はできる。それができないと緊縛できないのね。何故ならば、縄ってキュッって縛ると、ギューってしまっちゃうか、スッて緩くなってポロッて取れちゃうかどっちかなのね。もやい結び、本結びって呼んでるんだけど、本結びやってると絶対取れないの。だけど、その日、山手線乗ったら忘れちゃうんです。本当に物覚えが悪過ぎて…」

ーいえいえ、一回や二回の講習で覚えられるものではないでしょうから…。

「頭悪いからね、私。理数系じゃないと無理。なのになぜか、『三月の誕生日にショーやっちゃえばいいじゃん』ってなって、初めて授業を受けた次の週に、『先生、来月にショーをやることになったんですけど』って言って、先生にぶったまげられた」

ー早過ぎますね。

「早過ぎるよ。本当ふざけてるの。でも、だから早く覚えたのかも。もうやんなきゃってなるから、先生にも一生懸命ご指導いただいて。で、それからもずっとそんな感じで、三月の誕生日イベントが終わって、『あぁ、良かった』ってなったら、次の日にミクちゃん(セクシータレントの愛音ミク)っていう友達からメールきて、『新宿シアターPООで、二人でショーに出たらってオファーが来たんですけど、どうする?』って聞かれて、何も考えずに『うん、やる』って言って、それを次の授業の時に先生に言ったら、『はあ、またですか』ってなって、『里奈ちゃん、しばらくはショー入れないでね』って言われたんだけど、それでもまた、五月ぐらいにショーが決まって、八月に二本、ショーに出たのね。で、そしたら今度、このお店のお客さんでデラカブ(新宿歌舞伎町にある老舗ストリップ劇場、デラックス歌舞伎町)で働いてる人がいるの。だから私、すごい運が良いんだか悪いんだか判んないんだけど、なんか実力がないのにショーだけ決まっちゃって…っていう人なの。で、お客さんに『デラカブ出ちゃえば』って言われて、デラカブがそんなにすごいって知らないし、そんな大きいショーになるなんて思わなかったから、『はい、出ます』とか言って、あんまり本気にしてなかったんですよ、お客さんも酔っ払ってるし。なのに本当にスケジュール組まれちゃって、それで先生に報告したら、『はあ、今度はデラカブに出るんですか!?』ってなって、もう教室中大騒ぎになっちゃって…。そういうね、すごいふざけてる人なの」

ーすごいですね。どのようなショーを演じているんですか。

「だいたい一本が30分。その間にお芝居と、逆さづり、みの虫づり、鳥かごなど、何パターンかの縛りを入れていくっていう感じで。パートナーは松井理子ちゃんっていう、日活とかの映画に出てる女優さんなんですけど、その子になってもらって、姉妹キャラでやってます。リコちゃんがお姉さんで私が妹。姉妹の馬鹿なSMショーって感じで。私のショーは前半がおふざけなのね。コントなの。で、後半は真面目にしっとり。ちゃんと縛られて気持ち良いみたいな要素も入れて。そういうショーなんですね」

ーストーリー性を持たせてやってる?

「そうそうそう。セリフあった方が、何だろう、やり易くてそうなりました。デラカブの時とか、緊張したんですよ。だけどしゃべってると安心する。緊張を誤魔化してるのかも知れないですね」

ー緊縛の魅力ってなんですか。

「私は緊縛師としてとっても未熟だから正確なことは言えないんだけど、今の私は、縛られて喜んでくれるのが嬉しいの。皆、縄が痛いと思ってるのね、大抵の人が。でも、ちゃんと縛って吊れば、ハンモックみたいになって全然痛くないし、妙な安心感もあって、ぐっすり寝ちゃう人もいるくらいなんですよ。それに感動して、笑顔で帰ってくれるのが嬉しいですね。だから全然SMじゃないよ。私の縛りは。『癒しの縄』と呼ばれてるんですよ。『里奈ちゃんの縄は人を幸せにするね』って言って貰える。女の子を縛ってベチョベチョに濡れたりとか、表情がどんどん変わって行くのを見るのも楽しい。縄は縛る側も縛られる側も濡れるし、SでもMでも受け入れられると思いますね。私も縛られた事があるけど、『あぁ、これは気持ち良いなぁ』って思いましたもん。眠っちゃうような癒しの効果と性的興奮の両面を味わえる。それが今、私が思う縄の魅力かな」

ー奥深い世界ですね。

「今はミルキーウエイの師匠に頼まれて、緊縛教室の先生もやってるのね。上級コースに通いながら、初級中級の生徒さんを教えてるんだけど、授業に熱が入り過ぎて、皆から『里奈ちゃんはスパルタだね』って笑われる。それぐらい縄にハマってるの。お正月もお母さんと初詣に行ったんだけど、縄あるじゃん。しめ縄とか、通路を区切る縄とか。あれを見ただけでウズウズしちゃうのね。それとか、電車に乗ってても、男の人の体系とか、肩甲骨の位置とか見て、『縄を掛けるとしたらこうだな』って想像しちゃう(笑)」

ー職業病ですね。

「ホント、病気。そのくらい今は縄のことしか考えてない感じ」

ーでは最後にこれからの目標をお聞かせ下さい。

「これからどうなりたいかは、ぶっちゃけよく判らないですね。実は、今年の六月にはフランスへ行くんですよ。リエさんが『世界の里奈になりなさい』とか言って、有名なフェティッシュパーティーへの出演を入れちゃったんです。だから、とにかく今は、もっと色んな縛り方を覚えたいし、縛ることを楽しみたいですね。それだけです」


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 まだ、お店は開店前で、ほとんど暖房が効いていない状況だったにも拘わらず、撮影の為にずっと半裸でインタビューに応じてくれていた結月さん。質問以上のことを必死に答えようとしてくれるサービス精神旺盛な姿勢の中に、負けず嫌いで何事にも一途に打ち込む純粋さを感じた。ロリでちょっと抜けてるお嬢キャラもさることながら、彼女のそんな内面が、多くのカメコやSM仲間を惹き付けるのだろう。新たなスタイルの緊縛師として実を結ぶのか、今後も注目して行きたい。


結月 里奈

3月27日生/O型/東京都出身
T160、B87、W55、H84、S23.5

イベント、雑誌、DVD、テレビ、ラジオと媒体を問わず活動するセクシーアイドル。現在、キャンペーンガール、イメージアイドルの他、緊縛師として人気を博す。東京・五反田にあるSMバー『MilkyWay(ミルキーウェイ)』にて毎週金曜日に緊縛講習(要予約)を行っている。

【HP】http://fhp.jp/rina77/
【ブログ】http://blog.livedoor.jp/yuduki_rina/
【twitter】http://twitter.com/yudukirina
【ミルキーウェイHP】http://milkyway2002.com/





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