対談 神田つばき × 北原みのり 「女版・快楽主義のすすめ」2

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セックスと育児



北原 お子さんは神田さんの仕事についてどこまで理解してるんですか?

神田 どうなんだろう。ただ、子供に泣かれたことはありました。あれを撮った一年後くらいに。「石鹸を取りに入った時にお母さんの体に傷痕があるのを見たんだけど、あれはママが不本意ながらやられたこと、それとも望んでやったこと?」って本気で聞かれちゃったんです。なんかドキドキしちゃって(笑)。同時にそんなことを聞かなきゃいけない子供がかわいそうになっちゃってね、「ごめんなさい、好きでやりました」って言ったの。そしたら子供がうわぁって泣き出しちゃって。そこで「でもそれにお金がついてきたのも本当だし、そのお金でおかず買ってたのも本当なの、だから許してぇ」って。

北原 それ子供が何歳の時?

神田 成人したくらいの頃ですね。そしたら子供が「もう分かったから」って。「本気で安心したからいいよ」って。その時に、皆巻き込んでるんだなぁって気付いた。子供だけじゃなく、例えば相手の男性とかも巻き込んじゃってるんだなぁとか、色々思いました。

北原 子供は神田さんの作品を動画で見たのかな。

神田 多分サンプルくらいは見てたんじゃないかなぁ。子供の頃からネットはやってたみたいだから。

北原 じゃあ「神田つばき」が母親だってことは分かってたんだね。今は完全に知ってるわけですよね?

神田 知ってますね。ただその中で、よくあるススんだ家庭みたいな感じで「ママは性的に自由だぜヘイヘイ」みたいに振る舞った方がいいのか、あるいはそこは抑えて振る舞った方がいいのか、そういうのどうなんだろうって悩みもあったんですけど、私は子供に性のことはプライヴェートゾーンだと教えてきちゃったんで、お互いにそこは突っ込まないようにしようってなってますね。

北原 素晴らしいじゃないですか。

神田 どうでしょう…。言いたいことは一杯あると思いますよ。

北原 でも憎まれている感じではないんでしょう?

神田 憎まれてはないと思う。けど嫌悪はされてると思います(笑)

北原 (笑)。でも確かに神田さんは嫌悪されやすいものをいっぱい持ってますよね。私が言うのもなんだけど(笑)

神田 言っていいです(笑)

北原 やっぱり神田さんがしているのはただのセックスじゃないし、自分を曝け出しているから、子供としては「そこまでやって欲しくない」とか「見たくない」っていうものもあるとは思うんです。それをどうやって受け入れさせていったんだろうって気になる。

神田 やっぱり反抗期頃は難しかったですよ。でも逃げるわけにもいかないので。毎日、肩が張ってました。例えば私がお金に困っていて仕方なくソープに行ってたというのであれば、どんなにか子供達が受け入れやすかっただろうとは思うんです。うちのお母さんは悪くないって言えた。でも、私は好きでやっちゃってるわけだから、子供からしたら謎な人なわけですよね。だから手探りですよ。子供は普通に恋愛したり悩んだりするじゃないですか。そういう時に逃げないで答えてあげようとか、思っているのはそういうことぐらいだし、それしか出来ないし、それなら普通のお母さんよりもより良く出来るかもしれないし。何があってもびびらないからね。だから、今のところは双方向っていうか一方通行の繰り返しですよ(笑)

北原 神田さん、子育て系の本とか書かれてもいいんじゃない?

神田 役に立たないんじゃないですか?(笑)

北原 役に立つよ?(笑)

神田 私なんかが教えれることって限られちゃうけど、いわゆる性教育っていうのではなく、「あなたはいまセックスしたいんでしょ?」っていうのを前提に、じゃあどうやって自分を守って欲望を発散できるかって話ですよね。それは北原さんもお仕事の中でやってきてることだと思うし、私は子育ての中で今まさにやってるところなんだと思う。女の人にとって大事なことですから。

北原 大事なことですよ。ただ、自分の母親が「女」であるって子供にとっては色々と複雑な気持ちもありそうじゃないですか。そこを堂々としてるっていうのはカッコいいなとは思いますよ。

神田 それしかないんで…、でも北原さんももしお子さん持たれたらそういう風になるんじゃないかな。だって子供って人間に対して嘘つけないでしょ?

北原 嘘はつかないですね。

神田 なんかこういう仕事してるとね、家庭が使用済みの使い捨てナプキンみたいな変な臭いになるんですよ。家に帰ってきたら、私がパソコンでカタカタいかがわしい文章を書いてて、子供にお母さんのパソコンで文字打つと変な予測変換が出てくるとか言われて。その中でどうやって正気を保っていくのかっていうね。

北原 正気を保っていく(笑)。まぁ…、強くなりなさい、ですよね。

神田 そうなの。ある程度、母親が他人事として距離感をとっていかないとダメだと思う。子供と母親が癒着してしまうと、共にダメになっていっちゃいますから。

北原 面白いですねぇ。

神田 じゃあ別の機会にまた子供も交えてやりましょう。

北原 是非やりたい! はっきり言って神田さんってポイズンママと呼ばれてもおかしくない状況じゃないですか(笑)。でも、全然そうなってないっていう。

神田 家庭内が分裂してるかって言えば、仲良くなってると思うんです。ただ常に苦情は来るんですよ。「そんなに赤裸々になる必要なんてないです、よその家庭はもっとクールです、お母さん」って。「はい! あたいもそう思います」とか言ってね(笑)



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SMとフェミニズム



編集 ここでいったんお二人に編集サイドからの質問をさせて頂きたいと思います。まず神田さんにお聞きしますが、神田さんはいわゆる「フェミニズム」という思想、運動について、どのような印象をお持ちですか?

神田 私の年代だと一番最初に性の解放みたいな言葉に触れたのが『モア』とか『コスモポリタン』といった雑誌を読んでてなんですね。そのころに私が見ていたフェミニストの人達っていうのは、なんか頭が良くてカッコいいなって思う反面、この人達に近づくと、私のお母さんやお婆ちゃんとかみたいに、私をペニスから遠ざけようとするんじゃないかみたいな、男に甘えちゃだめよって怒られるみたいな、怖いイメージがあったんです。

編集 そのイメージは現在においてもありますか?

神田 なくなりましたね。ただ前より厳しい目で見てるかもしれない。一人一人言ってることも違いますので、北原さんについては安心してますけど、他の人については一人一人聞いてみないと分からない。本当にコンプレックスからだけものを言ってる人もいるんだなってことも知ってます。北原さんが違うっていうのは分かってますけど(笑)

編集 では北原さんに聞きます。北原さんは「SM」というプレイ、あるいは性的嗜好についてどのような印象をお持ちですか?

北原 基本的には私はどんな快楽でも咎められるものではないと思ってます。ただ、SMって無駄に教養の高い人達の文化的なお遊びというイメージ。面倒くさそうな男がいっぱいいる世界だなってイメージです。

神田 その通り(小声)

北原 (笑)。私、身体を楽しむのが好きなんです。だからSMみたいなインテリジェンスなセックスに、あまり没頭できないんですよね。身体の快感っていうのを先に知って、その後にエロがついてくる、という感じ。

神田 何歳くらいの頃にそれを感じたんですか?

北原 3歳くらい。それこそ何かを触っていた時に…ホオズキだったな。それを触ってる時に「超エロい」とか思ってて。

神田 天才だ(笑)

北原 何がエロいんだか分からないけど、毎日夢中になって触ってました。大人から見たら、子供が可愛らしくホオズキいじくってるだけでしょうけど、私のなかでは快楽でパンクしそうだった。それが性器と結びついたのは小学校とかに入ってからかな。クリトリスを偶然触ったかなんかで、それが感触的にホオズキと結びついたんですね。私にとってはエロって触感的な部分が大きくて、それによって自分の中で罪悪感とかを感じることもなかったですね。精神的な面でいえば、うちは祖母が旅館を経営してたんだけど、芸者さんとかいっぱい来るわけですよ。みんな自分の母親とは全く違う性の匂いがして、それがすごくカッコヨクみえた。あと、祖母は副業でラブホテルやってたんです。そこに行くとね、男と女の人が入って行く雰囲気とか、ドアを閉ざされる感じの魅力っていうのがホオズキの触感とはまた別の世界としてあった。あのドアの向こうでは何が行われてるんだろうってワクワクしながら考えてましたね。性に対してはポジティブな興味ばかりでしたね。

神田 健康優良児ですね。

北原 そう、性的な健康優良児なんです。

神田 ここまで変なバインドがかかってない人って逆にめずらしいんじゃない?

北原 私としては私がやってる仕事なんて、これ以上ないシンプルなものですよ。だけど、実は理解してもらえないってことが多く、驚くことばかり。むしろ、私はSMの世界とかびっくりして引いちゃってたところはあります。

神田 普通の女子の感覚として引いちゃったんですよね。

北原 そうなの。バイブ屋だけど、普通の女なの(笑)。普通のセックスが好きとか、ラブホテルのドアを閉める感じが好きとか、ただの乙女みたいな感じですよ。ウンコとかありえないですもん。

神田 ウンコはありえなくていいんですよ(笑)。でも、北原さんが男とセックスしないと思ってる人は世間にいっぱいいますよ。私もその1人だったし、男の人も北原さんには品定めとかされちゃうんだろうなってビビってる人いっぱいいると思う。不幸な誤解のされ方してるよね、お互いに。

北原 でも、その方が私はいいや。

神田 そうなんだぁ。

北原 商売的なイメージとしては乙女を知られちゃいけない(笑)

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