ケロッピー前田の変態カタログ★リターンズ11 【アジアン・ガール】

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ケロッピー前田の変態カタログ★リターンズ11

アジアン・ガール

ASIAN GIRL : BIZARRE GLOSSARY by KEROPPY MAEDA

「ワタシ、ニホンジンノ、オンナノコト、ヤリタイネ」


 日本に来る外国人観光客の数は爆発的に増加している。その中には、親日家を自称しつつも、日本人の女の子のフェティシズムにどっぷり浸かった変態男たちが多く含まれているのだ。


 何でもナンバーワンを目指す日本は、ついに変態ワールドでも世界トップレベルにまで辿り着いた。そのような傾向は、日本の漫画、アニメ、オタク・カルチャーの世界進出によって、「可愛くてエッチ、変態OK」の日本人の女の子のイメージがますます増幅され、「アジアン・ガール」の中でも日本人の女の子たちは、トップの座に君臨することを許されたのだ。


 なぜ、それほどまでに日本のエロティシズムは、世界において先端的な存在になったのか。日本ではメディア上での性器の露出が法律で禁じられているがゆえに、それ以外のあらゆる性表現が高度に発達し、全裸よりいやらしいいフェティシズム、ロリコン、SMを含めたタブー全開の変態性癖のオンパレードとなったからだろう。


 さらには、昨今のオタク・カルチャーの世界進出。もともと漫画やアニメは子供を対象としたメディアとして、直接的な性表現を抑えつつも、ありとあらゆるフェチな性表現で屈折したエロティシズムの世界を作り上げている。そのような日本のアニメはヨーロッパを中心に広く輸出され、世界中の男の子たちが日本独特のアニメ顔の女の子に、屈折した性欲を覚えるという状況を作り出した。このような日本的エロの価値観が牽引する形で世界的な「アジアン・ガール」の流行が吹き荒れることになったのだ。


 「アジアン・ガール」伝説を作ったひとりに、オノ・ヨーコがいる。ビートルズのメンバー、ジョン・レノンと結ばれたことで、ある時期、彼女は欧米で最も有名な日本人女性となった。有名な話に、1969年アムステルダムのホテルで、新婚旅行中のオノ・ヨーコとジョン・レノンがメディア取材班たちを部屋に招き入れ、「ベッド・イン」というパフォーマンスを行ったという事件がある。それは平和を訴えるためであったが、「アジアの女はエッチだ」というイメージを世界中に広めることにもなったのだ。


 21世紀、アジアの中で、日本が政治経済のリーダーシップを取ることは難しいかもしれないが、エロの世界においては明らかに指導的な立場にある。エロ業界に関わる人間としては、非常に誇らしいことである。しかし同時に日本人の女の子たちの変態イメージはますます世界の隅々にまで知られることとなってしまっている。


「世界の中で、日本の変態カルチャーのプライドは如何にして守られるべきか」


 その問題こそ、この連載に隠された大きなテーマかもしれない。



●「アジアン・ガール」は今や「変態」好きな女の子を意味するようになっている。良いことなのか悪いことなのかわからないが、特に日本人の女の子たちは、SM、ロリコン好きの欧米変態たちの憧れなのだ。


●イギリスのフェティッシュ・パーティにはドレスコードがあるが、アジアの女の子たちは、そのままの服装でも入場を許可されるという。すでにアジアの女の子であることで「変態」の仲間入りというわけだ。


●私、ケロッピー前田も何度か仕事をさせてもらった「アジアン・フィーバー」(ハスラー社)は、アラン編集長が日本流の変態的エロ本文化を、アメリカのポルノ界に持ち込もうとして立ち上げたものだった。


●フランスには、「ゲイシャ」という日本のエロネタ専門雑誌もあるし、「オカズ」という日本のアニメ雑誌もある。日本のアニメが世界に輸出され、世界中の男たちが日本人の女の子に憧れるようになった。



ケロッピー前田


1965年生まれ。身体改造、サイボーグ、人類の未来をテーマに取材を続ける。主な著書に「スカーファクトリー」(CREATION BOOKS)、監修DVD「ボディ・モディフィケーション・フリークス」(ワイレア出版)など。ツイッター「keroppymaeda」にて改造イベント情報など発信中。keroppymaeda.com