ケロッピー前田の変態カタログ★リターンズ17
尻フェチ
BUTTOCKS FETISHISM : BIZARRE GLOSSARY by KEROPPY MAEDA
エロメディアの世界では相変わらず、巨乳全盛といった感があるが、女体のパーツのフェティシズムは数あれど、男たちの性癖を大雑把に分けるなら、「尻フェチ」派と「おっぱいフェチ」派に2分されると思う。
「おっぱい」派は正常位のイメージで、たわわに揺れるおっぱいと官能のアクメ顔に精液を発射したいというタイプ。一方、「尻」派は後背位で後ろから犯す感じ。女と顔をちゃんと合わさないところがある種犯罪的、覗きや痴漢、ストーカーも後ろから狙ってくるあたりで「尻」派に繋がる部分があるのだ。そう考えると、「おっぱい」派に比べて「尻」派はすでに変態的だ。
さらに、「尻フェチ」の奥行きを見ていく上で、欠かせないのがエロ本界における「尻フェチ」のターニング・ポイントとなった「お尻倶楽部」だ。三和出版の投稿雑誌「マニア倶楽部」から枝分かれして93年に創刊。「お尻倶楽部」といいながら、実はスカトロ雑誌であったところから、「尻フェチ」とスカトロの距離の近さがわかるのだ。どんな美女でも一日一回は、肛門から黄金をひり出すという事実からは逃れられない。「尻フェチ」をスカトロと繋ぐなら、尻を覗くという意味でのトイレ覗きもその延長線上にあると言っていいだろう。
さて、「尻フェチ」には、オマ○コを舐めたい、あるいは、そこに顔を埋めたい人たちも含まれるてくる。彼らは、「尻フェチ」であると同時に目の前にある尻に思わず舌先を伸ばしてみたくなるタイプの連中なのだ。例えば、挿絵画家春川ナミオ氏が描く窒息死寸前のM男たちの顔面騎乗の図もまた、彼らにとっては至福の瞬間だろう。
また、鑑賞派の「尻フェチ」愛好者たちには、着衣へのこだわりも大きい。スカートをめくる。フルパンツ、Tバック、透けパン、ぴっちりズポン、透けズポンなど。服の上から生尻の感触を想像するところが日本的情緒というべきか。一方、欧米の「尻フェチ」たちは、お尻専門誌でも性器丸出しOKなだけに、生尻のドアップで真っ向勝負。そこでの鑑賞ポイントは、お尻の全体の形だけでなく、肛門のしわやヴァギナの形状、そして、開かれたヴァギナの奥に覗く子宮口。そう考えると、尻からの眺めも満更でもない。もしも、自由自在に視線の位置を選べるのなら、犬の目線の高さからスカートの中を覗き込むように見上げるのが最高だろう。そのアングルで楽しむ生尻もまた格別なのだ。
なかなかふり幅の広い「尻フェチ」について、思いつくままに実例を上げてきたが、その究極のイメージを絵画作品に仕上げているのが、林良文氏だろう。巨大な尻がいくつも連なって無限に続く作品の尻の形状にギュッと目を凝らしていると、勃起した男性器の亀頭部分のようにも見えてくるから不思議だ。確かに男性器の尿道口の部分は、女の尻の形状に似ている。「尻フェチ」の世界はさらなる深淵へとハマっていくのだ。
●「尻」の誘惑は、「後から犯してください」と言わんばかり。野外でスカートをたくり上げる恥じらいも、パンツの喰い込みや透けも悪くない。突き出された尻のカーブを視線で舐め回してやれ。「尻フェチ」にこそ、レトロなエロスの桃源郷があるのだ。
●フランスのアレキサンドレ・デュポイ氏は、写真作品でアラブの「ハーレム」を再現。その作品中では、皇帝に仕えるべき性処理女たちは、皆、尻を突き出して、皇帝に気に入られようと必死だ。理想の性奴の必要条件は、まず良い「尻」からということか。
●欧米でも、「尻フェチ」というジャンルはがっちりと固定層を掴んでいる。専門誌「テイル・エンズ」では、欧米の女たちならではの迫力満点の肉圧ヒップが堪能できる。「美貌」より「美尻」、ドアップのデカ尻に思わず顔を埋めたくなる読者も多いだろう。
ケロッピー前田
1965年生まれ。身体改造、サイボーグ、人類の未来をテーマに取材を続ける。主な著書に「スカーファクトリー」(CREATION BOOKS)、監修DVD「ボディ・モディフィケーション・フリークス」(ワイレア出版)など。ツイッター「keroppymaeda」にて改造イベント情報など発信中。keroppymaeda.com
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