ケロッピー前田の変態カタログ★リターンズ26
エロティック・タトゥー
EROTIC TATTOO : BIZARRE GLOSSARY by KEROPPY MAEDA
日本では、80年代後半にSMブームが起こり、90年代初頭にピアスブーム、90年代半ばにタトゥーブームが続いた。それらの流行の特徴は、若い女の子たちがその実践者となってブームを牽引したことであった。以前なら、男たちの妄想であった「マゾで病気でキズモノのセックスドール」を、女の子自らの価値観で受け入れ始めたとき、最初は拒否反応を示す男たちも多くいたかもしれない。しかし、そこにこそ、新しいフェティシズムが開かれることになったのだ。
タトゥーをしたいと思う女の子たちの気持ちはどんなものだろう。ラバーやゴス系などの服飾系フェティシズムが女の子たちを魅了すると同時に、タトゥーやピアスという身体的フェティシズムも彼女たちの変身への憧れを実現化してくれるものである。そこには、彼女たちの隠されたエロティシズムが投影され、身体的コンプレックスを克服することで、「自分を見られたい」「本当の姿を見られたい」という願望が「タトゥーを見られたい」という気持ちで現れてくる。
西洋のタトゥーについても、1891年に電気式タトゥー・マシーンが登場すると、サーカスや見世物小屋で、全身をタトゥーで覆う美女たち「タトゥード・ウーマン」が人気となり、彼女たちを顧客として彫師のチャーリー・ワグナーらが、タトゥー技術を大いに向上させた。彼女たちが見世物小屋の呼び物となったのは、その当時、すでにタトゥーをした女たちのエロティシズムが発見されていたからに他ならない。
さて、一方で、日本における伝統刺青では、女向けのデザインはなく、男の身体にデザインされた総身彫りを女体に彫ってしまうところに、倒錯的なエロティシズムが生まれるという。それはいうなれば、「男装のエロティシズム」。だからこそ、自分の女に刺青をしようという行為にも、特殊なエロス的効果が込められていたのである。
●投稿者には、SMプレイとして性器ピアスの次に、奴隷の証しのイレズミを施したいというマニアもいる。それに対して、女たちが自発的に選択したタトゥーには、彼女たちに秘められた変身への渇望があるのだ。
●西洋では電気が普及し始めた1891年、世界最初のタトゥー・マシーンが登場。1910~30年代、彫師チャーリー・ワグナーらが活躍し、サーカスや見世物小屋で、全身をタトゥーで覆う美女たちが人気を得た。
●女たちがタトゥーに憧れる理由は何だろう。タトゥーを見せることは、身体を見せることであり、そこには彼女たちの身体的コンプレックスや精神的願望が投影され、皮膚に刻まれた図柄として現れているのだ。
ケロッピー前田
1965年生まれ。身体改造、サイボーグ、人類の未来をテーマに取材を続ける。主な著書に「スカーファクトリー」(CREATION BOOKS)、監修DVD「ボディ・モディフィケーション・フリークス」(ワイレア出版)など。ツイッター「keroppymaeda」にて改造イベント情報など発信中。keroppymaeda.com
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