きみも身体に機械を埋め込んで気持ちよくなろう

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ケロッピー前田 ARCHIVE

21世紀サイボーグ時代の到来 #01

WE ARE ALL CYBORGS IN
21ST CENTURY !! BY KEROPPY MAEDA



きみも身体に機械を埋め込んで
気持ちよくなろう



ホンダやソニーが(2001年当時)2足歩行ロボットを発表し、

世間はロボット時代到来の気分だろうが、

私はあえて、「時代の真実はサイボーグにあり」と断言したい。

身体への機械埋め込みで快楽をコントロールできるなら、

それこそが21世紀の僕らの選択!! 

さあ、きみもサイボーグになろう!!




?高価な玩具としてのロボットより、人間の性能向上を


ソニーの犬型ロボットAIBOの成功から、日本のロボット熱が一気に過熱。昨年11月には、パートナー・ロボット博覧会「ROBODEX」が開催され、ソニーのSDR-3X、ホンダのASIMOといった2足歩行ロボットが発表されて世間の話題をさらった。しかし、パラパラダンスを踊ってくれる高価な玩具としてロボット(ソニー)や、缶ビールを持ってくる(ホンダのASIMOが手で持てる限界重量は500グラム)だけのロボットに、過大な期待をかけすぎるのは、いかがなものか。確かに、ロボット技術の進歩には、大いに期待したいのだが、その技術をどのように使うかを考えたとき、私は、人間型ロボットよりも、人間に機械を埋め込むサイボーグにこそ、大きな可能性があると思う。


サイボーグというと、人は、SF映画そのままに半ロボットの機械人間を考えるかもしれないが、ほんの数十グラムのマイクロチップを埋め込んでいるだけでも、サイボーグと言ってさしつかえない。実際、1960年、科学論文で、サイボーグという言葉が最初に使われたときには、それは、宇宙飛行時による人間の身体への負担を、機械の接続と薬物投与によって軽減する技術を意味する言葉として用いられたのだ。


インターネットや携帯電話が僕らの生活を数年のうちに、大きく変化させたように、もっと安価で手軽な機械埋め込みで、人間の性能をアップさせることができるなら、あっという間に、世界中に普及してしまうかもしれない。それこそが、私が待ち望んでいるサイボーグ時代なのだ。


「今、若者たちの間で、タトゥーやピアスが流行しているのは、未来のサイボーグ時代を先取りしているのさ」


そう語ったのは、アーティストのステラーク。彼は、70年代以来、未来の人間の身体を探究し、身体にフックを刺して宙吊りになるボディ・サスペンションを始め、90年代には、胃袋で作業を行うロボットを実際に飲み込む実験も行っている。そして、ステラークが語る「タトゥーやピアスの流行」が、サイボーグ時代の到来とはっきりとリンクし始めたのが、素材を皮膚下に埋め込みインプラントの登場だった。


「僕のまわりには、スタートレックの宇宙人のように額に突起をつけて欲しい人や、頭にモヒカン状に金属鋲をつけて欲しい人たちが集まっていた」と、インプラントの開発者であるスティーブ・ヘイワースは語っている。タトゥーやピアスを超える身体改造マニアたちの願望をかなえたのが、インプラントだったのだ。


「もう、埋め込み技術は完璧。あとは、人体に埋め込み可能な機械やバッテリーを作ってくれれば、サイボーグは可能になる」


スティーブからそんな話を聞いたのは、1997年。そして、2000年には、イギリスのケビン・ウォリック教授がシリコンチップのインプラントに挑戦し、成功している。







?脳内物質を自由にコントロールするサイボーグ技術


「身体改造や人間のサイボーグ化で、未来を決定づけるような『快楽の仕組み』が発見されるのではないか」


これは、2000年に、ロボット専門誌「AI-JAPAN」(コアマガジン)の創刊号でサイボーグについて書いたときの結論だった。ここで「快楽の仕組み」と言っているのは、最高のドラッグを超えるような快楽が、サイボーグ技術から生まれれば、人々はあっさりとそれを受け入れるだろうということである。そういう意味で、私は、トレパネーション(頭蓋骨の穴開け手術)にも注目している。


21世紀、サイボーグ世代が登場して、全く新しい価値観が生れるのではないかということなのだ。






サイボーグ化年表

→1960年:メルボルン大学のマンフィールド教授とコロンビア大学のナザン教授が、「宇宙飛行における身体的状態」というシンポジウムで、「ドラッグ、宇宙、サイバネティックス」という論文を発表。この論文の中で、「サイボーグ」という言葉が始めて使われた。

→1962年:オランダの医大生バート・フーゲスが、頭蓋骨に穴を開けることによって、意識の覚醒が起こるという「ブレイン・ブラッド・ボリューム」仮説を発表。

→1970年:イギリスのアマンダ・フィールディングが、バートが提唱した頭蓋骨の穴開け手術を実践。

→1970年代:オーストラリアのアーティスト、ステラークが、人間の感覚を拡張する目的で、まぶたの縫い合わせ、身体にフックを刺しての宙吊りなどを開始。

→1993年:アメリカの医療器機メーカー社長の御曹子スティーブが、皮膚下に素材を埋め込む実験を開始。

→1994年:カナダ、トロントのシャノン氏が、身体改造ホームページBMEを開設。身体の切断、素材の埋め込み、性器改造などの実践マニア情報を発信。

→2000年:イギリス、レディング大学のケビン・ウォリック教授が、左腕にシリコンチップの埋め込み実験を成功させた。




※『裏BUBKA』VOL.1(創刊号/2001)掲載

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