都築響一 妄想芸術劇場 第十二回

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写真が瞬間芸だとすれば、イラストは独演会だ。

観客ゼロの高座で2時間、汗みどろで語りつづける脳内の発情ランドスケープだ。

写真ページの添え物とさげずまれ、アートともイラストレーションとも漫画とも

認知されないまま、ひっそりと増殖する陰花植物。

欲情の、淫夢の、妄想のもっとも純粋なあらわれとしての、マイクロ・ニルヴァーナ!






# 1 2 ハ リ マ オ 1



今週、来週の2回にわたってご紹介するのは「ハリマオ」氏。ニャン2創刊時代から、現在まで20年間以上、途切れることなく作品を送りつづけてくれる、彼もまた伝説の投稿イラスト職人である。そのキャリアの長さから言えば、以前に紹介したクッピイと肩を並べる、歴史的な存在だ。


ハリマオの作品の、基調をなしているのはむろん露出・SMなのだが、そのフラットな画面構成と色彩感覚のせいか、陰湿さがなく、むしろほがらかな明るさが感じられるところに最大の特徴がある。ソフト・オン・デマンドの一連の露出スポーツもののような、と形容するのが当たっているかはわからないが、テーマはハードでありながら、そこに悲惨さはまったくない。それどころか、どこかプレイをエンジョイしているような、積極的な気配すら感じられる。


ハリマオの画題というか、本人の興味の対象は、新体操やレスリング、シンクロナイズドスイミングなどの「運動もの」と、タレントやアイドルをテーマにした「芸能もの」に大別される。今週はその中から、運動競技を題材にして作品群をご覧に入れよう。







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都築響一
1956年、東京生まれ。現代美術、建築、写真、デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集。93年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。96年、日本各地の奇妙な新興名所を訪ね歩く『珍日本紀行』の総集編『ROADSIDE JAPAN』により第23回木村伊兵衛賞を受賞。 97年?01年『ストリート・デザイン・ファイル』(全20巻)。インテリア取材集大成『賃貸宇宙』。04年『珍世界紀行ヨーロッパ編』、06年『夜露死苦現代詩』、『バブルの肖像』、07年『巡礼』、08年『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』、10年『天国は水割りの味がする~東京スナック魅酒乱~』など著書多数。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中。