写真が瞬間芸だとすれば、イラストは独演会だ。
観客ゼロの高座で2時間、汗みどろで語りつづける脳内の発情ランドスケープだ。
写真ページの添え物とさげずまれ、アートともイラストレーションとも漫画とも
認知されないまま、ひっそりと増殖する陰花植物。
欲情の、淫夢の、妄想のもっとも純粋なあらわれとしての、マイクロ・ニルヴァーナ!
# 3 7 西田ひろし
2000年代に入ってからの新世代投稿者のひとり、西田ひろし。投稿作品の数こそ少ないが、非常に特徴的な画風で、いつも気になっていたアーティストのひとりである。画のテーマというか、設定がまずおもしろいし、ギャグっぽさも入れ込まれていて、しかもタッチがときとしてかなり絵画的。そのアンバランスさが奇妙な魅力を醸し出している。
しかもこの西田ひろしは多くの場合、官製葉書の裏にこんな画を直接描いて、編集部にそのまま送ってくるのだから気合いが入っているというか、男らしいというか・・。
イクI イク~~!
結局・・・
こんな趣味があったのネ
お互いに・・・
この振動がたまらない!
ヒトが生きのびるには
洗心するしかないのです。
我を折り相愛
するようにと 神は
申しております。
都築響一
1956年、東京生まれ。現代美術、建築、写真、デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集。93年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。96年、日本各地の奇妙な新興名所を訪ね歩く『珍日本紀行』の総集編『ROADSIDE JAPAN』により第23回木村伊兵衛賞を受賞。 97年?01年『ストリート・デザイン・ファイル』(全20巻)。インテリア取材集大成『賃貸宇宙』。04年『珍世界紀行ヨーロッパ編』、06年『夜露死苦現代詩』、『バブルの肖像』、07年『巡礼』、08年『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』、10年『天国は水割りの味がする~東京スナック魅酒乱~』など著書多数。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中。
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