都築響一 妄想芸術劇場 第四十三回

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写真が瞬間芸だとすれば、イラストは独演会だ。

観客ゼロの高座で2時間、汗みどろで語りつづける脳内の発情ランドスケープだ。

写真ページの添え物とさげずまれ、アートともイラストレーションとも漫画とも

認知されないまま、ひっそりと増殖する陰花植物。

欲情の、淫夢の、妄想のもっとも純粋なあらわれとしての、マイクロ・ニルヴァーナ!






# 4 3 夢 男 1



ぴんから体操の発表場所でもあったニャン2倶楽部、ニャン2Z倶楽部の古い名物投稿者「夢男」を、今週、来週の2回にわけてお送りする。


ニャン2創生期から、その前身である『クラッシュ』を主な投稿の場としてきた夢男。ここに紹介するのはいずれも、いまから20年あまり前の投稿作品である。


日本のSM雑誌が全盛期を迎えたのは1970年代末期から80年代初期かと思うが、夢男の画風には、そんな時代を思わせる、なんとも言えない香りが漂っている。SMだけど、いまのサーカスみたいなSMみたいにハードじゃない。苦痛よりも羞恥を尊ぶ、古き良きSM道がそこにあると見えてしまうのは、読み過ぎだろうか。


例によって、掲載時には反映されることのなかった、裏面に記されたテキストとともに、夢男のレトロ・エロティシズムにしばし浸っていただきたい。




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街角に取り残され、改築予定の地下道の中で素っ裸にされ緊縛された若妻。立ち入り禁止のロープが張られているものの、誰がいつ入って来るかもしれない。どうか気がつかないで、大股開きに片脚を吊り上げられ秘部を晒した若妻は身悶える。何時間になるだろうか激しい愛虐の恥戯を受けこのような恥ずかしい格好のまま放置されて、夕闇が迫る街角は楽しげに語り合いながら通り過ぎる恋人達。惨めな自分がいとおしい。しかしながら反対に体の奥底ではちろちろとマゾの炎が燃え上がる。春先のためか夕闇が迫るにつれ冷気がすっ裸の肌に凍みる。こらえていた尿意が限界になり一気にコンクリートの床にほとばしる。





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義姉肉奴隷
夫を送り出した後、遅く起きて来た義弟の良一に調教さる若妻の亜矢。
「義姉さん、待ち遠しかったろう。ほら俺の愛しいものをくわえろ!」
義弟の遅い朝食の準備をさせられるのに、素っ裸に赤縄のいましめを施され台所に立たされる亜矢。
「ダメ! そんなにされちゃ何もできないじゃない」
自分の一物を取り出し兄嫁の亜矢の豊かなまっ白い尻に擦り付ける。やがて悪ぶった良一は義姉に昂りきった自分の一物をくわえさせる。
「もっと愛情を込めてしゃぶれ!」
起きぬけの若いエキスを兄嫁の可憐な口中に放ち、余裕をつけた良一はじわじわと兄嫁を翻弄していく。
どろどろとした愛欲の一日の始まりである。





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淫ら妻晒しもの
銀行の前で車のボンネットの上に素っ裸で緊縛された姿で晒しものにすると、夫はスタスタと銀行の中に入って行って帰って来ない。「あ、あ、早く帰って来て」「人が来るわ」「あ、見られる私の恥ずかしい姿」露出の快感が身体の奥からズーンと込み上げていやらしいほど花蜜が溢れ出る。





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あけはなたれた部屋の中では全裸に開脚縛りで逆さに吊るされたワカヅマがえもいわれぬ恥ずかしさに被虐の悦びに股間を濡らしている。無理矢理飲まされたビールが効いたのか排尿の欲望に勝てず下に置かれた洗面器にチャバチャバとおしっこを洩らす。





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姉妹の姫くらべ

どちらから先に可愛がってやろうか。二人とも先からおつゆを一杯溢れさせているじゃないか。隣のすけべおやじが覗いていやがる。充分見せつけてやりな。





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「お兄ちゃん、あのおねえちゃんおもらししちゃったよ」





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都築響一
1956年、東京生まれ。現代美術、建築、写真、デザインなどの分野で執筆活動、書籍編集。93年、東京人のリアルな暮らしを捉えた『TOKYO STYLE』刊行。96年、日本各地の奇妙な新興名所を訪ね歩く『珍日本紀行』の総集編『ROADSIDE JAPAN』により第23回木村伊兵衛賞を受賞。 97年?01年『ストリート・デザイン・ファイル』(全20巻)。インテリア取材集大成『賃貸宇宙』。04年『珍世界紀行ヨーロッパ編』、06年『夜露死苦現代詩』、『バブルの肖像』、07年『巡礼』、08年『だれも買わない本は、だれかが買わなきゃならないんだ』、10年『天国は水割りの味がする~東京スナック魅酒乱~』など著書多数。現在も日本および世界のロードサイドを巡る取材を続行中。






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