器具田こするのオナホール戦記 第四回

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txt 器具田こする教授(Kiguda Lab.)


第四話






■ オナホール素材の調べ方


  お手元のオナホールの素材が何であるかは、水に投入して浮くか沈むか、そして火をつけて燃えるかの2つを見るとよい。現行の熱可塑性エラストマー(TPE)製オナホールは鉱物油が主成分であり、水に浮かんで、火をつければ普通に良く燃える。

 昔のオナホールは、人形などに使われるソフトビニール(ソフビ、PVC)素材が主流だった。

 1990年代、当時のソフビは添加される可塑剤に毒性があると言われ、人形や日用品メーカーは毒性のない改良型ソフビや別素材への切り替えを進めた。ソフビの元の素材である塩化ビニールは水より重く、加熱されると塩素ガスが出て酸素を遮断するから火がつかない。一方、実際のソフビ製ホールは水に沈むが可塑剤が多く、可塑剤部分が可燃性のためTPEと同じように激しく燃える。

 TPE製オナホールは、メーカーの表記違いによってTPR、TPE、TPSなどと成分表示される。洋物オナホールも国産オナホールも、現在はTPEを使用していることがわかった。

 ただしラブドールの素材で作られたシリコーンゴム製ホールでは、不燃性のものが確認されている。


参考:本城化成株式会社


◎ここで実際に水に付けて、燃やして調べたi-doloid vol.01「濡らしの手帖」をご確認下さい。
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(平成12年12月11日発行 コアムックシリーズ143)






◎そして、現行オナホでも同じことをやってみました!

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今回、実験の為に用意したものは、左から、「テンガ:ディープスロートカップ」、「ラブクローンII:ミッドナイトプレジャー」、「ラブクラウド:東京名器物語」、「ワンダークラフト:KMCコントローラー用ホール」、「サイバースキン:バーチャルタッチプッシー」

まずは、作業しやすいようにすべてを小さく断裁します。1つ目の「テンガ:ディープスロートカップ」をプラスチック容器から取り外し準備。(滑りやすいから気をつけて!)「テンガ:ディープスロートカップ」水に付けると、浮かびました。「テンガ:ディープスロートカップ」火を付けると、激しく激しく燃えます。水に落ちても消えません2つ目、「ラブクローンII:ミッドナイトプレジャー」容器から外す際、非常によく伸びます。「ラブクローンII:ミッドナイトプレジャー」水に付けると、浮かびます。「ラブクローンII:ミッドナイトプレジャー」火を付けると、結構燃えます。3つ目、「ラブクラウド:東京名器物語」水に付けると、浮かびます。「ラブクラウド:東京名器物語」火を付けると、激しく燃えます。4つ目、「ワンダークラフト:KMCコントローラー用ホール」水に付けると、沈みました。「ワンダークラフト:KMCコントローラー用ホール」意外にジワジワと、燃えました。最後は「サイバースキン:バーチャルタッチプッシー」顔はこんな感じです。(※覚えておこう! オナホールの挿入口のことは顔と言います)「サイバースキン:バーチャルタッチプッシー」水に付けると、浮きます。(大きいのにすごいネ!)「サイバースキン:バーチャルタッチプッシー」火を付けると、結構燃えます。火を使った後は、炎上が怖いからちゃんと消しましょう。

※4つ目、ソフビ性の「ワンダークラフト:KMCコントローラー用ホール」が燃えたのは、可塑剤の方が多いからでした。PVC(塩ビ)は本来、燃えません。


■ ローションの成分



 オナホールが油をプリン状に固めたものであるのと同じように、ローションは水をプリン状に固めたものだ。

 昔は海草のぬめりの成分であるアルギン酸塩や納豆のぬめりの成分、ポリグルタミン酸塩を使ったローションが普通に売られていた。これらは天然原料のため、現在は石油から合成できる安価なポリアクリル酸塩がよく使われる。

 しかし、身元のはっきりしている中島化学産業製の「ぺぺ」ですら材料の記載がない。これはポリアクリル酸ナトリウム水溶液に防腐剤を添加したものであり、紙おむつ吸収体のぷるぷるしたアレの仲間だ。化粧水や食品添加物にも使われ、1960年代には普及している。

 東日本大震災発生当時、東北で昆布が取れずにローションが品切れになったというニュースが流れた。これは昆布製ローションの話ではなく、単に全体の流通網が切れただけと考えられる。あの時は、ガソリンも品薄だったわけだ。


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■ 戦後ホール暗黒時代の素材について


当時、ホールやオナマシンに使われた素材を大別してみると

軟質PVC(ソフビ)……現在もフィギュアの素材に使われるが、当時は環境ホルモンの疑いのある危険な可塑剤、フタル酸エステルが入っていた。

ラテックス……ラブドールでも「影」シリーズ(オリエント)などで採用された皮膚素材。生ゴムをアンモニア水で溶き、薄く乾かしたもの。ホールでは外装部品として。しっとりして柔らかいが、紫外線に当たると崩れてしまう。

ウレタンスポンジ……発泡率を高くふわふわに作って、やさしく亀頭を包んでこするパーツとした。「うなぎの寝床・サイロ」シリーズの刺激ユニットなど。堅く発泡させれば現行ラブドールの内部充填材である。

シリコーンエラストマー……アメリカ製「リアルバギナ」など大型ホール。

EVA(エチレン酢酸ビニル)スポンジ……名もないバルク品の格安ホール。


 ホール単体で性感を提供できる代物はまだなく、素材も伸びず、じゅうぶんに柔らかくもなかった。ローションで滑りを良くしないと痛い。素材で勝負できないとなれば、チンポを包み込んでロータの振動を伝えて強制的に逝かせるしかない。このため、締め付けやピストンなどのメカを備えたものが多かった。メカは消極的手段だったのだ。



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著者紹介


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器具田こする教授


マッドサイエンティスト。ドールとホールのR&Dアートユニット「器具田研究所」を主宰。隠匿野外自慰器具「オナーパンツ」でオナニーの世界に革命を起こし、複雑系ホール構造やオナマシン設計などアダルトグッズのテクノロジーを追求し続けている。「ゆっくりしていってね スローオナニー入門」(コアマガジン)でCEOを担当。発音は「きぐた」ではなく「きぐだ」と濁る。

webサイト http://www.kiguda.net/
Twitter @kiguda