JOJO広重 × 音楽とオルガスムス

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音楽とオルガスムス #01

JOJO広重 THE KING OF NOISE

80歳までやりたい、オシッコしてギター壊して。

インタビュー・文/イライザ・ロイヤル 構成/藤森洋介


KING OF NOISEこと、非常階段のJOJO広重氏にインタビュー。

70年代にノイズミュージシャンとしての活動を開始して以来、常にスキャンダラスなイメージで地下音楽シーンを震撼させる、まさに生きる伝説!! 

彼の狂気を掘り下げるべく会話を進めていくと、ひとつ分かった事が。実はサービス精神溢れる御仁。だって、コチラが求める以上にイイ話をテンコ盛ってくれるんだもん。

音楽、占い、カード、エロ、そして今後の展望などなどJOJO広重氏にまつわるアレコレを幅広くお届け。彼の人間性がねぇ、うんと魅力的過ぎて取材だっつーのに思わず恋しちゃった、私。



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JOJO広重(以下:JOJO) なんで僕なんでしょうか(笑)?


編集 VOBOにとって初めてのミュージシャンインタビューでして、ノイズミュージシャンであり、カード協会会長であり、占い師であり…。そんな様々な顔を持つJOJO広重さんに、70年代後半からのノイズシーンから、音楽におけるエロティシズムまで幅広くお話が聞けたらと思いまして今回オファーさせていただきました。今回はイライザ・ロイヤルさんがインタビュアーになりますので、よろしくお願い致します。


イライザ・ロイヤル(以下:イライザ) よろしくお願い致します。


JOJO はい。よろしくお願い致します。


イライザ では、まずノイズミュージックをやられているじゃないですか。一番始めに聴いていた音楽って何だったんですか? プログレッシブ・ロックだったりとかでした?


JOJO 一番最初は子供の頃にアニメの主題歌や、プラモデルが好きで、軍艦も作ってたりしたんで、鶴田浩二の軍歌のラバウル小唄とか同期の桜とか。それで自分で音楽をちゃんと聴き出したのは中学の頃で、一番インパクトが凄かったのは頭脳警察。72年にサードを出した時、僕は中学1年生の時で、僕は演劇部だったんですけど、先輩のモリモトさんという人が、僕に貸してくれてくれたんです。

そこに入っている『前衛劇団”モーター・プール』っていう曲があるんですけど、中盤部で即興の部分が2カ所あるんです。そこがかっこいいなと思って。それでモリモトさんに、こんなことばっかしてるバンドって何かないんですか? って聞いたらそんなんあるかって言われて(笑)。


イライザ 当時は頭脳警察とかはメジャーだったんですか?


JOJO 全然メジャーではなかったですね。でもバンド名が変じゃないですか。で、僕ら子供なんで尖ったものに惹かれるじゃないですか。この頭脳警察って何なんだろな? って。それで興味を惹かれて。当時の僕らの情報源って深夜ラジオなんですよ。

それでいわゆる表のポップスなんかは昼間のラジオでかかるけど、夜は夜で、変なものがかかる時代だったんです。今と全然時代が違うんで情報ソースが少ないんで、自然と突き当たる可能性が高かったんだと思います。


イライザ 情報ってない方が貪欲になりますよね。


JOJO そうなんです。だからすごく海外のものにしても日本のものにしても貪欲だったんです。昔だから間違いだらけで、それも面白かったんですけどね。RAMONESなんかもラモネズなんて読んだりして(笑)。それってローマ字読みなんじゃないんですかっていう(笑)。今考えると恥ずかしいですけどね。


イライザ そういうのって必要ですよね。レコード買って失敗するのって嫌いじゃないですもん。でも最近は音楽の聴き方に関して、ネットでタダで聴けるものと比べて重みが違うと思いませんか?


JOJO 僕らの頃は実際聴けなかったですから。今はネットで探せば大概は聴けますし、廃盤っていうもの自体がないですからね。当時は物理的に無理でしたから。だから僕らの頃はロック喫茶回ったり、ジャズ喫茶行ったりしましたからね。あきらかに貪欲だったんですね。


イライザ ロック喫茶は周りにたくさんあったんですか?


JOJO 京都だったんでジャズ喫茶はかなりの数がありました。ロック喫茶もジャズ喫茶に比べればすくなかったですけど、それでもかなりの数はありましたよ。それで本(非常階段 A STORY OF THE KING OF NOISE)にも書きましたけど、京都に『どらっぐすとぅあ』と『彷徨館』っていうのがあって、そこでラリーズとか日本プログレッシブ・ロックは聴きましたね。


イライザ そこでビデさんと出会ったり。


JOJO そうそう。そこに来る奴らは、そういうのがやりたかったり、聴きたかったり、しゃべりたかったりするから、話は合うんですよね。で、自分が知らないものを教えてもらったり教えたりして。で、そこで何人かキーパーソンになる人物がいて、例えばビデ君なんかもそうですし、そこで繋がっていった感じですね。自分が出入りしてたのが17~20歳くらいの頃なんで、ちょうど高校卒業して何かやろうとか大学だから何かやろうっていう時期とリンクしたのがよかったと思いますね。


イライザ 丁度いい時期ですよね。その年代って一番何かを吸収する時期ですからね。そして出す時期でもあるし。


JOJO そうなんです。なおかつ大学生だから割と自由に動けますし。日本は78年がパンクが始まった年で、東京ロッカーズとかが出たのも78年なんですよ。デレク・ベイリーの初来日も78年で、阿部薫が死んだのもの78年なんですけど、一気にそこで交錯した年で。

ただ僕はその年で大学生になって丁度リアルタイムで。美川君は1年後なんですけど、その中でみんなでバンドをやって、ようやく関西でもパンクやニュー・ウェーブみたいなのが始まったんです。その頃丁度、町田君とか色々出てきて、みんなでやるようになって。人が出てきたのが丁度良かったっていうね。


イライザ すごい年ですね。その頃からノイズっていう言葉自体はあったんですか?


JOJO ありましたね。僕たちがやってるようなものはノイズに近いものだって。まあ身体や楽器を使ってどこまで近づけれるかというのは当時考えてましたね。


イライザ 割と本を読んだ感じだとライブハウス出入り禁止になってたりすることが多いように思うんですけど実際はどうでした?



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JOJO そもそもライブハウス自体が少ない事と、僕らがやってるアバンギャルドなものが中々理解されないということがあって。で、その当時のスケジュール表なんか見てると、同じスケジュール表の中にアルフィーとかあるんですよ(笑)。その間にINU、ウルトラビデとかあって。で、アルフィーとかが土日なら僕らは月曜日みたいなド平日(笑)。

ロフトだって米米CLUBとかサザンが出る間に森田童子さんや非常階段、ミチロウさんが出てみたいな。昔はもっとごちゃだったんですよね。ライブハウスはセミプロが出る所で、僕らみたいなアマチュアが出る場所じゃなかったんですよね。そこにパンクブームがでてきて、そこに混ぜてやってもいいか、みたいな雰囲気が出てきたのが78年だったんですよね。

まだ町田君のINUみたいにパンク然としてるものならいいですけど、僕らもっと音楽の形を成してないですから、当然あまり好かれる訳じゃないですし、当然パフォーマンスみたいなものをすると次はちょっと…みたいな事になるんですよね。


イライザ それで出入り禁止に?


JOJO 出入り禁止とまではっきり言われたことはないですけどね。まぁ、あきらかに歓迎はされてなかったですね(笑)。でも非常階段の名前が売れてくると、どうやら客を呼べるらしいぞとなって混ぜてくれたりね。その内ハードコアとか出てきて、ライブハウスも許容が増えてきてね。


イライザ なるほど。パフォーマンスはどんどん過激になっていった感じですか?


JOJO 実際にそういう風にやってたのは80~82年くらいですかね。後は単発的にメンバーの女の子がオシッコしたりそういうのはありましたけど、集中してやってたのは81年の1年間で、そこのイメージがずっとついていて、逆に言えばそれを使わしてもらってるというか(笑)


イライザ 今って色々情報があるからですけど、要は先駆者なわけじゃないですか。ゼロから始めるというのが私は凄いことだと思います。出てるものに対してどんな過激な事をやったって、勝ち負けで言うのはやらしいですけど勝てませんからね。


JOJO 2010年の東京ボアダムっていうライブでもたまにはオシッコしよかってなって。そういった中で、アクションやパフォーマンスがあるのは構わないかなっていう感じで。よく言う例えで悪役のプロレスラーみたいなもんで、ステージ上で時間になったら凶器を取り出して血だらけになってみたいな。それでみんなワーワー言って楽しむ。そことそんなに変わんないですよ。

で、そういうイメージを否定するわけでもないし。でも大した事じゃないと思ってるんですよ。たまたま非常階段っていうのは、そういったイメージにリンクするとこがあるから、そこをうまく使いながら、なおかつエンターテイメントだと思ってるんで。アートというよりはエンターテイメントだと。ロックの世界でずっとやってるから。芸術の世界でやってるつもりはないんです。だからその中で楽しめる範囲であればいいんじゃないのって。


イライザ 確かにめちゃくちゃやってたら死ぬしかないですもんね。


JOJO 山塚君がハナタラシやってた頃とかは最終的にはステージで死ぬしかなくなっちゃうから。次がないよね。せいぜいそこのギリギリの所でやめるしかない。そうすると、じゃあそれ本気でやってないじゃんとか、ギミックじゃないとかそういうとこに突き当たる。

それだったらエンターテイメントでいいじゃんと。アートでもないし、そういった過激なパフォーマンスもある枠組みの中でやっているんであれば割り切れるんじゃないかって。でもそう言ってると時々なめられるんで、怖いとこも見せといて(笑)。だから別に狂ってるわけではございません(笑)。


イライザ パブリック・イメージだとかなり狂ったイメージなんですけどね。


JOJO はい。それでいいんです(笑)。でもそうじゃないんだってあまりなめられるとカチンってくるんで、時々キツいこともさせてもらおうかなっていう感じです。そういう出し入れはしてます。


イライザ そういう演出をされたエンターテイメントなんですね。

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