けだものだもの

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日本現代歌謡が忘れてしまった「もののあはれ」を一身に引き受け、

孤高の音楽活動を続ける音楽集団・面影ラッキーホール。

その過激な表現内容から、これまでハイメディアからは黙殺されてきた彼らの、

史上初となる活字連載の試み。

他人には話せない身の下のお悩みに、面影ラッキーホールが曲をオススメしつつ答える。





第1回





―面影ラッキーホールのバンドリーダーSinner-Yang氏とボーカルのaCKy氏をお迎えしお送りする当コーナー、今回はその第1回。まず、お二人とも宜しくお願いします。

Sinner-Yamg 宜しくお願いします。

aCKy 宜しくお願いします。

―まぁ細かい話はおいおいということで、早速お悩みの方いってみましょう。



付き合っている女性がいるのですが、彼女の職業に疑問があります。本人は普通のOLと言っているのですが、いつも夕方出勤ですし、OLの給料じゃとても買えないようなブランド品をしょっちゅう買っています。きちんと本当のことを聞くべきかどうか、悩んでいます。

(東京都 多呂八 30才)





―ということなんですが…、いかがですか?


SINNER-YANG(以下、S) これは彼女が本当は風俗かなんかで働いてるんじゃないか疑ってるってことだよね。うーん…、アッキーは風俗嬢と付き合ったりってある? 

aCKy(以下、A) 風俗嬢はないかなぁ。俺の知らない所で援助交際とかしてたって子はいたけどね。あ、でもかなり昔だけど、出会い系とかやってた時に…、あ、この話は長いからいいかな。

―いや、ぜんぜん長くていいですよ。

A いや、昔に出会い系でさ、ソープ街の中華やさんで働いてるって女性と知り合ったのね。話してみるとソープの世界にすごく詳しいんだけど、理由はそこらへんで働いてるからだって言ってて。で、その人とは会ってすぐにホテルに行ったんだけどさ、なんか俺怒られたのよ、「もっとこい」と。

S それはセックスの作法としてってこと?

A そうそう。「優しくすればいいってもんじゃないのよ」って。「もっときなさい」と。で、むこうも口ではそんなセックス経験はないみたいな話をしてたんだけど…、その人がさ、コンドームを口でつけたんだよ。それで、「あれっ」て思って。

―その動作に淀みがなかったんですね(笑い)

A そうそう。「あれぇ」ってなって。さらに帰りの車の中でも誰かと携帯で話しててさ「あいつは50だけど、あたしは100だからさ」とか、ものすごい大きなお金の話してるわけ。それでまた「あれぇ」って。そしたら最後、車を降りる間際にさ「あたし、ソープにやけに詳しかったと思わない?」とか言ってきて、「実は私はソープ嬢なのよ」って言って降りてったんですよ。

―(笑)。なんすか、その捨て台詞。

A 「ええぇ」っていう。

S リピーターにはならなかったの?

A ならなかったね。ていうか、その時の雰囲気で「リピートはもうしてくれるな」っていう感じがあったから。でも、そん時に俺初めてHIVの検査いったね。

S ゴムつけたのに?

A いや、一連の流れがあったからさ。俺も若かったし怖くなって。

―でもどうでしょう? この質問者さんみたいな場合、あまりつっこんで過去を聞かない方が大人な対応なんですかね。

S いや楽しむためにはディティールを全部聞いた方がいいでしょう。それでいうと、俺は全部聞きます。経験人数は何人で、誰とどこでどんな風にしたか。体位まで聞きます。

―性の履歴を全て聞き出すわけですね。

A 俺は知りたいんだけど、言わないでっていう感じかな。でも言って…、いや言わないで、みたいな(笑)

―葛藤を楽しむ感じですね。

S そこは一緒ですよ。色々聞いた上でうち帰ってから悶々とするわけ。あんなだったのか、こんなだったのかって。

―嫉妬をオカズにする感じですよね。

S そうでしょ?

A 俺さ、いまだにこの人すごいと思うんだけど、この人と知り合った直後くらいに「奥さんとどんな関係でいたいか」って話をした時に、この人は「自分が旅館の下足番で、奥さんは仲井みたいな関係がいい」とか言ってたんですね。で、「仕事の終った夜に今日は客に何かやられたのかとか聞くのがいいんだ」って。

S ようはね、妻が遅くに帰ってくるわけ。お酒で顔を紅くしててさ、で、そういう野暮なことをネチネチ聞きたいわけ。

―それこそシナヤンさんは寝取られ願望があるんですね。

S ありますよね。だから皆カッコつけないで聞くといいですよ。

A おれ、前付き合った彼女の家に遊びに行った時に、彼女の家にアダルトビデオがあったんですよ。で、パッケージを見ると似てるんですよ(笑)。で、ちょっと隠したくらいのところにあったんですね。「あれぇ」ってなって。すごいドキドキしながら、こっそり見てみたんですよ。でも映像がだいたい引きの映像で、彼女なのかハッキリしない。もう悶々としながら見てたんです。確かに映像でも似ている。パッケージも似ている。で、聞くかどうか悩んだんですが、結局、聞いたんですよ。そしたら顔色一つ変えずに「あぁ、見たんだ。で、どう思ったの?」って。だから「いやぁ、似てるかなぁ」って言って(笑)。そしたら「あれはあたしがある男の人からおまえに似てるって言われてもらったビデオなの」って言われたんです。で、俺はそれ以上はつっこまなかったの。

―じゃあその疑惑はいまだ?

A  晴れてないね。でも、その受け答えがすごくよかった(笑)

S それはよくわかる。聞かないのは苦しいし、でも聞くのも苦しいよね。

A でも寸止めの美学もあるんですよ。俺は寸止め派、で、悶々とするタイプ。

S 僕はのたうち回る派かな。

―なるほど…、まぁ聞くにせよ聞かないにせよ、ひとまずはその葛藤を楽しめってことですね。

S そうなりますね(笑)

―じゃあ、この質問者のために一曲贈るとしたら?

S 菅原洋一の「知りたくないの」ですね。なかにし礼先生の初ヒット作かな。あと、槇原くんの「スパイ」。

菅原洋一 『知りたくないの』


槇原敬之 『スパイ』



S あなたの過去など知りたくないのってね。でも本当は知りたいのよ。

―それが侘び寂びってもんですよね。では、二個目の質問いきます!







クンニや手マンで女をイカせたことがありません。僕がどんなに頑張っても、あまり濡れません。どうすれば上手くなりますか?

 (埼玉県 ぶっっこめぬ拓 25歳)









S 俺もあんまないかも。そもそもイカせなきゃいけないんですか? 根本的な問題として。

―テストで常に100点を取る必要はない、みたいな。

A 2番じゃだめなんですかっていう(笑)。でもあれだよね、男が思ってるほど、女性ってイカせなくても大丈夫ですよね。

S そうそう、それを言いたいですよね。だから、イカせなきゃいけないってのがこっち側の幻想なんじゃないか、もっと本当はぜんぜん違うことをもとめてないかなっていう…、これじゃあんま下品じゃないね(笑)

―でもその通りですよね。

A でも、イカない人がイッた時は嬉しいよね。

S 泣く女の人もいるよね。初めてイッたって。

A 俺は例えばライブとかもそうですけど、最初から総立ちよりも「徐々に」っていうのが萌えるよね。

―なるほど

A だんだん勃ってくるみたいな。だからさ、パーツじゃないんじゃないかな。クンニとか手マンっていうんじゃなくて、一連で見る。会った時から前戯がはじまっているみたいな気持ちでいた方がいいんじゃない?

―カッコいい(笑)

S カッコ良すぎて面白みがないよ(笑)

―でも確かにこの質問者はパーツしか見てないですよね、と言うよりマンコしか見てないですよね。でも、イカせる必要はないにせよ、濡れないのはやはり問題ですよね。

S 濡れない人ってたしかにいますよね。

―相性が悪いのかなんなのか。

S あれは肉体的な問題でしょ、単純に。分泌液の量が少ない。これはね、そういう女と定期的な関係を持つとね、本当に申し訳ないんだけど面倒くさくなりますよね。

―(笑)。スムーズにいかないわけですからね。ちなみに一般的な前戯をおこなって反応が薄い場合とかってどうします?

S うーん…、あんまり反応が薄いっていう経験はないですね。で、それこそさっきのアッキーの話じゃないですけど、そこでもし反応が薄いのだとしたら、それは多分、指先のスピード感とかの問題じゃない気がしますね。それまでの雰囲気作りであったり関係性の構築に失敗してるんじゃない? そっから練り直すべきじゃない?

A 大概の人は「俺以外とした場合はどうなんだ」ってのが分からないじゃない。そこが永遠の問題っていうか。「俺だからか」っていうのと「俺以外の時にどうなんだ」っていう。相対的な比較が難しいよね。

S でもそこで我が身を振り返ると、たとえばいつも三擦り半かと言えばそうじゃない。長いときもあれば短いときもある。要はイントロの問題なわけですよ。イントロが大事ですよ。

―じゃあこの質問者に対して何か言うのであれば、イントロを見直してみよう、と。

S だって、『スモーク・オン・ザ・ウォーター』って歌えないじゃないですか。あれ大抵の人は歌のメロディーは覚えてないんですよ。ジャッ、ジャッ、ジャーっていうイントロが先にたってるんですよね。あの時点でもう濡れてるわけです。サビとか別にねぇ…、「すもーくおんざうぉーたー」って歌われてもねぇ。まぁイントロが大事ってこと。

―じゃあ曲を贈るならば?

S まぁ『スモーク・オン・ザ・ウォーター』(笑)。個人的にはサビ始まりの曲が好きですけど。でもいいイントロがあるとサビ始まりいけるんですよね。だから、イントロが良くてサビ始まりの曲がいいよね。例えば、KANの『愛は勝つ』。

『スモーク・オン・ザ・ウォーター』 ディープ・パープル


『愛は勝つ』 KAN



―ばっちしですね。

S 要はいい雰囲気作ってすぐ挿入。

―Aメロなんていらないよってね。

S あとは『それが大事』かな…。あ、でもあれはサビ始まりだけどイントロそんなに覚えてないわ。あれは強姦だね。

―濡らしもしないで挿入(笑)。相手の記憶にはずっと残りそうですけど。

S まぁ、濡れてようがなかろうが、そんなのに負けないことですよ。あとは投げ出さないこと。それが大事。

―(爆)

『それが大事』 大事マンブラザーズバンド





面影ラッキーホール 
Sinne-YANG (しなーやんぐ) 面影ラッキーホールのバンドリーダー、ベーシスト。
ACKY(あっきー) 面影ラッキーホールのボーカル。
オフィシャルサイト


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