ヒロイン手帖 × 高月靖 3

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?「負けないから」「バレないから」 児童虐待の最大の動機は実利でしょう。安易に性愛と結びつけるのは疑問です



「ペドフィリア、ロリコン……。もうちょっと何か言葉があればいいんですけどね。たとえば家庭内で娘をレイプする父親とか、児童養護施設や小中学校で子供を性の餌食にする職員とか非常に多いですけど、彼らはあまりオタク的なロリコンの臭いはしない。手っ取り早く支配できる性の対象ということで、単に力関係で選んだんじゃないのかと。つまり家庭や学校といった外から見えない世界で、保護者と子供という支配関係が根底にある。海外で話題になる教会の聖職者の児童レイプもそうですよね。そう考えると、いわゆるロリコン趣味とは全く違った側面も見えてくる。そういうところで、性犯罪者とロリコンって、実はあまり関係ないのかもしれません。少なくとも〝分別のあるロリコン〟は違うと思います」


高月氏はロリコンの愛のツボを『オフィーリアの系譜』(本田和子著/1989年)を参考に、次のように解説している。


『─田山花袋の時代から、少女が美化され神聖化される理由のひとつは、彼女たちが短命だからだ。子供と大人の間にはさみ込まれたモラトリアムである少女は、劇的なスピードで変化する。与えられた成長のゴールは「母親」だ。それは男性社会の秩序に組み込まれると同時に、少女の神秘性を保証する処女の喪失を意味する。一方でメディアはよく、彼女たちが最も魅力的な瞬間を記録しようと凝視する。(中略)そうして時間の流れから切り出された少女のイメージは、もう存在しない誰かの肖像、つまり遺影に等しい。そこに写っているのは少女の亡骸だ─』


少女のある瞬間を切り取って愛でるという感覚は、これまでにも多くのロリコンアーティストが発言してきた。それは人によって12歳であったり14歳であったりするが、いずれもこのような感覚なのだろうか。


最後に、著書について読者へのメッセージを。


「ロリコンを巡るこんな事件があったと時系列で並べました。こういう問題点があったと整理しました。児童ポルノ法の問題も含めて、いいか悪いかではなく、ロリコンに対して何か考えるときに、資料として役に立てばいいかなと思います。調べられる範囲のことは盛り込んだつもりですので」


高月氏は著書でも、この取材でも自分のポジションを崩さなかったが、「あとがき」でこう書いている。


『性や精神を巡る多くのことが病理化されているいま、無条件に自分が健康だと確信できてしまう人のほうが病的に見えかねない』


うぶ読者はみな頷くことだろう。





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高月靖(たかつき・やすし)

1965年生まれ。フリーライター。雑誌・書籍編集者を経て現職。内外の社会事情を扱う。著書に『韓国の「変」 コリアン笑いのツボ82連発!』『韓流ドラマ、ツッコミまくり』『南極1号伝説 ダッチワイフからラブドールまで―特殊用途愛玩人形の戦後史』(以上バジリコ),『にほん語で遊ぶソウル』(アドニス書房)、『美味しい韓国語』(技術評論社)などがある。

このインタビューは2010年うぶモード1月号の転載です。